第8話 はじまるくん、京都にて
はじまるくんは、京都の賑わい、ビルの高さ、多さ、そしてなんといっても、ネオンの明るさにびっくりしながら、いろいろ見て回わっていたのです。
そんなところも多いのですが、大きなお寺やお宮も多いので、そこをいろいろめぐったりもしていました。
はじまるくんは、修行も忘れてはいけないと、嵐山、鞍馬山、東山、比叡山なども夜な夜な駆け巡ったりもしています。
ときには、海と思えるような大きな湖をみて、ああそういえば、都のそばにビワコとか言うみずうみがあったなーと、なにかが星での言い伝えを思い出したりしていました。
ある日、はじまるくんは異様な光景を目にしました。
白装束を着た人間がリーダーとなった怪しげな集団です。
なにか、お寺やお宮についたら、そのリーダーが呪文を唱えているのです。
その周りについた集団は、そのリーダーを尊敬するがごとく対応しています。
はじまるくんは、その集団についていきました。
そうすると、だんだん比叡山にのぼっていき、それにつれて集団はだんだん少人数になっていき、最後はそのリーダーが比叡山のある建物に入っていくのです。
はじまるくんは、ちょっとそこで様子を伺うことにしました。
やがて、夜もふけてきて、はじまるくんはその建物のまわりに潜んでいたのですが、深夜も過ぎるころ、ガラーッと音がして、白装束が出てきて、突然山をかけ始めました。 はじまるくんは、それについて気づかれないように一緒に山をはしりはじめました。
はじまるくんにとっては、そんなに無理をしなくてもついていけましたが、これは只者ではないぞ、と思ったのです。
やがて夜が明けるとともに、市街地に下りてきて、昨日と同じことが始まりました。
すごい人が、地球にもいるのだと思った、はじまるくんでした。
そう、白装束の人は、千日回峰の行者さんだったのです。
京都で一ヶ月すごしたあと、はじまるくんはナニワに向かおうと決め、嵐山から桂川にそって出発したのです。