第23話 もやの中の村人は
もやのなかの村人は、もやが薄れてくるの感じながらも、まだまだ真言を続けていました。
そのうち、もやがどんどん薄くなり、となりの人がわかるようになり、やがては完全に無くなってしまいました。
それから、太鼓が〆の打ち方に変わり、最後の打ち止め
「ドーン・・・ドーン・・・」
で終わり、あたりは静寂に包まれました。
村人は、それぞれ周りをみわたし、周りの人間がもやる前と同じように存在するのが確認できました。
やがて、群集の外のほうにいた村人たちが、騒ぎ始めました。
「周りの景色が違う・・・。」
よく見るとたしかに、黒いシルエットのように見えている、周りの山の形がもやのではじめるまえと違います。
そこで、首領は十人ほどの手勢を、周囲に走らせ周りを調べてくるよう、命令しました。
調べた結果、五角形の結界の中は、今までとおなじで、その外はすっかり様子が違っていることがわかりました。
さてポルトガルへ行っていた村人は、もやが晴れると星の感じがまるで違っているのに気づいていました。
そこでかれは、遠めがねを取り出し、夜の空を観察し始めたのです。