第24話 そこは?
天文知識のある村人たちが、天体を観察し始めてかなり時が過ぎ、やがて東のほうが明るくなってきました。
結界の中にいた鶏たちが、いっせいに鳴き始めて、夜が明けるようです。
時がたつにつれ、どんどん周りが明るくなってきて、ついに太陽が上りはじめました。
その太陽の上るのも観測していた、村人たちはお互いに意見を言い合っていましたが、やがて結論が出たようです。
その一人が、首領にこう言いました。
「どうも、いままで住んでいたところと、まったく別のところのようです。もっといえば星が違うというのが、われわれの結論です。」と。
首領は、天文知識がないので、星が違うと言われても、何のことかわかりません。
そこでその村人は、ポルトガルより持ち帰った地球儀をとりだし、天体のことを説明し始めました。
洞察力の鋭い首領は、前に住んでいたのは地球という星で、ぜんぜん違う星に来てるという事をおぼろげながら理解し、それがきっと正しいのだろうと考えました。
そして、忍術の技量に優れた15名を集め、3名ずつの班にして、それぞれ五角形の頂点方向にむかって探索するように、指示を出しました。
残った村民には、結界の中にある食料で朝食の準備をさせたり、五角形の周辺を農地に向くかどうか、家を作るための材木となる樹木があるかなど、くまなく調査させました。
それらからわかったことは、
- どうも村人以外の人は、いないようだ。
- 今後はどうなるかはわからないが、気候はもやの発生前と変わらない。
- 周囲の土地を開墾すれば、結界の中にある、食料となる草木を植えることが出来そうだ。
- この星の動食物で、食料になりそうなものがある。
- 周囲に川が流れていて、水は引けそうである。
- 周りにある木で、家を建てることが出来そうだ。
結界五角形の中には、ちょっと辛抱すれば半年分くらいの食料はあるので、そのあいだに食料を自給するようにすればよいのです。
ただ不安は、一年を通しての気候がどのように変化するかがわかっていないので、地球と同じように、畑を耕すなどをして大丈夫かどうかなのです。
そういう疑問はありますが、首領は村人の得意分野にそって分担をきめ、村づくりを開始しました。