第10話 はじまるくんついにオージス総研へ現る
一週間ほどたって、「尼崎に物の集荷に、いくぞー。」こんな声とともに、車のエンジンがかかりました。
ずっと同じところに潜んでいたはじまるくんは、新しいところにいってみたいと、思っていたときでした。
すばやい身のこなしで、その車に忍び込むと、やがて車が走り出しました。
そのうち車は、普通の道より高いところにある道に上り、高架をまたいで走る電車の横を走り、ものすごく早く走る電車の道の下をくぐり、お椀に顔が書かれている塔を右に眺め、空飛ぶ乗り物の下を走ったかと思うと、やがてまた普通の道に下りたのです。
しばらく走った後、車はあるところにとまりました。
そこの看板には、株式会社オージス総研PCR部と書かれていました。
はじまるくんは、その建物に忍び込むことにしました。
その建物には、額がかかっており、‘企業理念’と書かれていました。
「いいことが書いてあるなっ。」と思ったはじまるくんは、ここにしばらくいてみようと、決めたのでした。
PCR部に潜んでから、2~3日たった時でした。 ここの人が5~6人、ある部屋に入って話し合いをしている様でした。
はじまるくんが、忍んでその内容を聞いていると、 「それなら、いっそこのプロジェクト名を‘はじまる’、いやー‘はじまる’って子供の忍者みたいな感じがするから、‘はじまるくん’にしようか。」
こんな声が聞こえたのです。
その時、はじまるくんは、「それは、僕だよ。」と言って、みんなの前に姿を現したのです。
これで、第一回目の話のところにつながるのです。
はじまるくんが、地球にきてからPCR部へたどり着くまでの間、こういう旅を経てやってきたのです。
400年ほど前、はじまるくんの祖先は地球にいたという話でしたよね。
それは、どうなっているんでしょうか?
そのあたりは、次回からの話でだんだんわかってくるのです。