オブザーバビリティとは?意味や監視との違い、IT運用における必要性を解説

 近年、クラウドやコンテナといった新しいIT技術の普及により、システムの複雑さはかつてないほど高まっています。このような複雑な環境において、従来の監視手法では安定した運用を維持することが難しくなっています。そこで注目されているのが「オブザーバビリティ」です。オブザーバビリティとは、システムの内部状態を深く理解し、問題を迅速に検知・解決するための新しいアプローチです。

 本コラムでは、監視(モニタリング)の違いや重要性について解説いたします。

オブザーバビリティを実現するシステム「Cloud Arch」の概要と特長、
モニタリング機能の詳細がわかる資料

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学べること

● 「Cloud Arch」で実現できることや主要機能

● コスト削減、人手不足解消、人為的ミス 0 の「Before/After」

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オブザーバビリティ(observability)とは?意味・定義

 オブザーバビリティ(observability)とは、observe(観察する)とability(能力)を組み合わせた単語で、日本語では「可観測性」や「観察する能力」と訳されます。システムやアプリケーションの内部状態を、外部から観察可能なデータを通じて把握する能力を指します。

 具体的には、ログ、メトリクス、トレースといったデータを活用し、システムの挙動や問題の原因を迅速に特定・分析する手法です。従来の監視では、主にエラーやパフォーマンスの異常を検出することが主眼とされていましたが、オブザーバビリティはより深い洞察を得るために、システム全体の状態や変化を可視化し、予防的な問題解決を可能にします。

オブザーバビリティと監視(モニタリング)との違い

 オブザーバビリティと監視(モニタリング)には、目的に明確な違いがあります。 監視(モニタリング)は、システムの各種ログや指標をリアルタイムで監視し、異常やパフォーマンスに問題がないかをチェックします。例えば、CPU使用率、メモリ消費、レスポンスタイムなどの指標を追跡し、これらが設定された閾値を超えた際にアラートを発することで、運用中の問題を即座に検出・対処することが可能です。

 一方、オブザーバビリティは、システム全体の状態を観測しながら可視化し、可視化した情報から予期せぬ問題の発見をします。ログ、メトリクス、トレースなどのデータを統合的に分析し、システムの振る舞いを詳しく把握することで、問題の根本原因を特定し、将来的な問題を予防する手助けとなります。

 モニタリングは既知の問題に焦点を当て、リアルタイムで異常を検出することが目的であるのに対し、オブザーバビリティは未知の問題や複雑なシステムの相互依存関係を深く理解するために洞察することを目的としています。モニタリングが「何が問題か」を示すのに対し、オブザーバビリティは「なぜそれが問題か」を明らかにします。

  監視 オブザーバビリティ
目的 どこに異常があるかを知らせ なぜ障害が発生したかを調べる
監視対象・内容 あらかじめ設定した監視項目で設定された閾値を超えた際にアラートとして通知 システム全体の状態を観測しながら可視化し、可視化した情報を分析して問題の根本原因を特定

オブザーバビリティのメリット

1. システム障害の迅速な検知と対応

 オブザーバビリティを導入すると、システム内の異常や障害をリアルタイムで検知し、迅速な対応が可能になります。ログ、メトリクス、トレースを組み合わせて分析することで、単なるエラー検出にとどまらず、根本原因の特定が容易になります。例えば、特定のAPIの応答時間が急激に悪化した場合、その背後にあるデータベースの負荷増大やネットワーク遅延などを即座に可視化できます。これにより、影響を受ける範囲を特定し、適切な修正を行うことで、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能になります。

2. システムの安定稼働と可用性向上

 オブザーバビリティは、システムの状態を継続的に監視し、異常の兆候を早期に発見することで、安定した運用を支援します。たとえば、CPU使用率やメモリ消費量の推移を可視化し、異常なスパイクが発生した場合に即座に警告を発することで、リソース不足によるシステム障害を防ぐことができます。また、障害が発生した場合でも、詳細なログやトレースデータを活用することで、迅速に原因を特定し、適切な対策を講じることができます。結果として、システムの可用性が向上し、サービスの安定供給が可能になります。

3. 開発・運用チームの生産性向上

 開発者と運用担当者がリアルタイムでシステムの状態を把握できるため、問題発生時の対応が迅速化し、チームの生産性が向上します。従来は、障害の原因を特定するために膨大なログを手作業で確認する必要がありましたが、オブザーバビリティツールを活用することで、自動で異常を検知し、影響範囲を特定できるようになります。また、開発段階からシステムの挙動を可視化することで、リリース後のトラブルを事前に回避できるため、運用負担の軽減にもつながります。結果として、開発サイクルが短縮され、より迅速なサービス提供が可能になります。

4. ユーザー体験(UX)の改善

 オブザーバビリティを活用することで、ユーザーが感じるパフォーマンスの低下やエラーを迅速に検知し、問題が拡大する前に対処できます。たとえば、ECサイトのカート機能が特定の時間帯に動作不安定になる場合、その原因をアクセス負荷の増大なのか、データベースの応答遅延なのかを特定し、最適な対応策を講じることができます。これにより、ユーザーがストレスを感じることなく快適にサービスを利用でき、結果的に顧客満足度やリピート率の向上につながります。また、アプリやWebサービスのパフォーマンス改善にも寄与し、競争力の強化にもつながるでしょう。

5. セキュリティリスクの低減

 システムの異常な動作や不審なアクセスをリアルタイムで監視することで、セキュリティリスクを未然に防ぐことが可能になります。たとえば、通常のトラフィックパターンと異なる大量のリクエストが短時間で発生した場合、DDoS攻撃の可能性を検知し、迅速に対策を講じることができます。また、内部システムにおける不正アクセスや情報漏洩の兆候をいち早く察知し、事前にブロックすることで、企業のセキュリティレベルを向上させることができます。オブザーバビリティを活用することで、単なる監視ではなく、リスクの予測と防止が可能になり、より安全なシステム運用が実現できます。

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オブザーバビリティを高める3要素

 オブザーバビリティを高めるために主に「データ収集」「データ分析」「データ可視化」の3つの要素が必要になります。

データ収集

 データ収集は、システムの状態や動作を深く理解するための基盤となります。効果的なデータ収集では、内部把握に必要となる「シグナル」と呼ばれるデータ、特にログ、メトリクス、トレースといった多様なデータを収集することが重要です。

ログ
  • システム内で発生する動作や処理結果などのイベントを日付や時刻とともに記録したテキストデータ
  • 認証ログ、操作ログ、システムログ、通信ログなど
メトリクス
  • システムのパフォーマンス情報を取得・定量化し、定量化したデータを管理に使えるようにした指標
  • CPU使用率、メモリ消費率、ディスク使用率など
トレース
  • アプリケーション内のリクエストの流れを追跡、管理したデータ

データ分析

 データ分析は、収集されたデータを深く理解し、システム内で発生している事象の原因を特定するために不可欠です。適切なデータ分析により、システムの異常を迅速に検知し、問題の根本原因を特定することが可能になります。これにより、問題がエスカレートする前に対処することができ、システムの安定性を保つことができます。

 データ分析には、トレンド分析、異常検知、相関分析など、さまざまな手法があります。トレンド分析は、時間の経過とともにデータの変化を把握することで、将来的な問題を予測することができます。異常検知は、通常のパターンから外れたデータを見つけ出し、潜在的な問題の兆候を早期に発見します。相関分析は、異なるデータセット間の関係を明らかにし、複雑なシステム内での因果関係を理解するのに役立ちます。

 また、機械学習を活用したデータ分析は、これまで気づかなかったパターンやインサイトを発見することができ、より高度なオブザーバビリティを実現します。これにより、IT運用チームはより効率的に問題を解決し、ビジネスのニーズに迅速に対応する能力を向上させます。

 さらに、データ分析は、システムのパフォーマンスを最適化するための指針を提供します。具体的には、リソースの使用状況をモニタリングし、必要に応じて調整することで、システムの効率を最大化します。こうした分析によって得られた知見は、将来的なインフラ投資や機能改善の計画にも役立ちます。データ分析を駆使することで、組織はオブザーバビリティのレベルを向上させ、持続的な成長を支える基盤を築くことができるのです。

データ可視化

 データ可視化は、オブザーバビリティを高めるための重要な要素です。膨大な量のデータを視覚的に表現することで、システム内の状態や動作を直感的に理解しやすくします。グラフ、ダッシュボード、ヒートマップなどのツールを使用することで、複雑なデータセットを整理し、トレンドや異常を迅速に把握することが可能です。

 これにより、開発者や運用担当者は、リアルタイムでシステムのパフォーマンスを監視し、問題が発生する前に予兆を捉えることができます。データ可視化はまた、異常検知やパフォーマンスのボトルネックを特定するのに役立ちます。視覚的なデータ表現は、組織内のさまざまな関係者に対して、技術的なコンテキストをわかりやすく伝える手段ともなります。

 さらに、データ可視化は、データに基づいた意思決定を促進します。視覚化されたデータは、過去のパフォーマンスと現在の状態を比較し、将来のトレンドを予測するための基盤を提供します。これにより、迅速かつ正確な判断を下すことができ、システムの信頼性と効率性を向上させることができます。

オブザーバビリティが重要な理由

マイクロサービスにおけるオブザーバビリティの重要性

 マイクロサービスは、小さなサービスを組み合わせて連携させ1つのアプリケーションを構築する仕組みです。
サービスを素早く開発できるなど柔軟性があるため多くの企業で採用されています。

 しかし、複数の独立したサービスが連携して動作するため、システム全体の挙動を把握することが難しくなります。
ここで重要になるのがオブザーバビリティです。

 マイクロサービスにおいて、各サービスがどのように動作しているか、どのような問題が発生しているかをリアルタイムで把握することが求められます。
オブザーバビリティは、システム全体の状態を観測しながら可視化し、可視化した情報を分析して問題の根本原因を特定するため、問題の早期検出と迅速な対応が可能となります。

DevOps におけるオブザーバビリティの重要性

 DevOpsにおいてオブザーバビリティは、システムの健全性を維持し、迅速な問題解決を可能にするために非常に重要です。

 重要性の1つ目は、システムの透明性を高めることです。これにより、開発者と運用チームはリアルタイムでシステムの状態を把握でき、異常が発生した際にも迅速に対応できます。例えば、パフォーマンスの低下やエラーの原因を特定するための時間が短縮され、結果としてダウンタイムが減少します。

 2つ目に、オブザーバビリティはプロアクティブな問題解決を可能できることです。従来のモニタリングツールでは、問題が発生してから対処する受動的なアプローチが主流でした。しかし、オブザーバビリティを導入することで、潜在的な問題を事前に検知し、予防的な措置を講じることができます。これにより、システムの信頼性と可用性が向上し、ユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与します。

 3つ目に、オブザーバビリティはチーム間のコラボレーションを促進できることです。システムの状態に関するデータが共有されることで、開発チームと運用チームが同じ情報を基に協力して問題を解決することが容易になります。これにより、サイロ化された作業環境が解消され、DevOpsの文化が根付くことにつながります。

 最後に、オブザーバビリティは継続的な改善を推進できることです。システムの動作に関する詳細なデータを収集・分析することで、どの部分に改善の余地があるかを明確に把握できます。これにより、システムのパフォーマンスや信頼性を継続的に向上させるためのインサイトが得られるのです。

 以上のように、オブザーバビリティはDevOpsにおいて非常に重要な役割を果たし、システムの透明性、プロアクティブな問題解決、チーム間のコラボレーション、そして継続的な改善を実現するための基盤を提供します。これにより、ビジネスの競争力を高め、顧客満足度を向上させることが可能となります。

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クラウドネイティブに必要なオブザーバビリティ

 クラウドネイティブな環境では、オブザーバビリティは不可欠な要素となっています。クラウドネイティブアーキテクチャは、マイクロサービス、コンテナ、サーバーレスといった動的で分散されたシステムを前提としています。このような複雑な環境では、システム全体の状態を把握し、問題を迅速に特定・解決するために、オブザーバビリティが重要な役割を果たします。

 まず、クラウドネイティブ環境では、システムや機器、ソフトウェアの拡張などスケーラビリティが求められます。これはリソースのオートスケーリングや負荷分散が頻繁に行われるため、システムのパフォーマンスや利用状況をリアルタイムで把握する必要があります。オブザーバビリティを高めることで、これらの動的な変化に迅速に対応できるようになります。

 次に、障害の迅速な検出と解決が求められます。クラウドネイティブ環境では、障害がシステム全体に影響を及ぼす可能性が高いため、異常を早期に検知し、原因を特定するための詳細なデータが必要です。オブザーバビリティを強化することで、ログ、メトリクス、トレースなどのデータを収集・分析し、問題の根本原因を迅速に特定できます。

 以上のように、クラウドネイティブ環境においてオブザーバビリティはシステムの健全性を維持し、問題の早期検出と解決、開発と運用のスムーズな連携、そしてセキュリティリスクの低減に寄与します。

オブザーバビリティの成熟度を測る方法

 オブザーバビリティの成熟度を測るためには、具体的な指標やモデルを用いることが一般的です。これにより、システムの状態をどれだけ効果的に把握できるかを評価し、改善点を特定することができます。以下に、オブザーバビリティの成熟度を測るための主要な方法をいくつか紹介します。

オブザーバビリティの成熟度モデル

 まず、オブザーバビリティの成熟度モデルが挙げられます。このモデルでは、システムのオブザーバビリティがどの程度進んでいるかを段階的に評価します。例えば、初期段階では基本的なログ収集やモニタリングが行われているだけかもしれませんが、成熟度が増すにつれて、より高度なトレースやメトリクスの収集が行われるようになります。このモデルを使うことで、自社のシステムが現在どの段階にあるのかを把握し、次に進むべきステップを明確にすることができます。

 次に、具体的なメトリクスや指標の設定が重要です。例えば、システムの可観測性を評価するための指標として、エラーレート、レスポンスタイム、スループットなどが挙げられます。これらの指標を定期的にモニタリングし、異常値が出た場合には迅速に対応することで、システムの信頼性を保つことが可能です。

 さらに、継続的な改善プロセスを取り入れることも大切です。オブザーバビリティの成熟度を測るだけでなく、その結果を元に継続的に改善を行うことで、システムの可観測性を高めることができます。例えば、定期的なレビューやフィードバックセッションを設けることで、現状の問題点や改善点を洗い出し、実際の改善アクションにつなげることができます。

 最後に、システムの選定と活用も重要な要素です。適切なオブザーバビリティシステムを導入することで、データの収集や分析が容易になり、システムの状態をより正確に把握することができます。これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能となり、システムの可観測性の向上に寄与します。

 これらの方法を組み合わせることで、オブザーバビリティの成熟度を効果的に測り、システムの信頼性とパフォーマンスを向上させることができます。

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オブザーバビリティシステム

オブザーバビリティシステムとは?

 オブザーバビリティシステムとは、システムの状態や動作を可視化し、理解するためのソフトウェアやプラットフォームを指します。これらのシステムは、複雑なシステムやアプリケーションの内部状態を詳細に観察し、問題の原因を特定するのに役立ちます。具体的には、ログ、メトリクス、トレースなどのデータを収集・解析し、ダッシュボードを通じてリアルタイムに表示します。

 オブザーバビリティシステムの主な目的は、システムの健全性を維持し、障害発生時の迅速な対応を可能にすることです。システムの異常を早期に検知し、問題の根本原因を迅速に特定することで、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。また、パフォーマンスのボトルネックやリソースの無駄を特定し、最適化の機会を提供します。

 さらに、オブザーバビリティシステムは、DevOpsやSRE(Site Reliability Engineering)チームにとって重要な役割を果たします。これらのシステムを利用することで、開発者と運用担当者がシステムの挙動を共通の理解の下で議論し、より迅速かつ効率的に問題解決に取り組むことができます。

 現代の複雑な分散システムやマイクロサービスアーキテクチャにおいて、オブザーバビリティシステムの重要性はますます高まっています。これらのシステムは、クラウドネイティブ環境やコンテナ化されたアプリケーションにおいても不可欠であり、システム全体の可視性を提供することで、運用の信頼性を向上させます。

 代表的なオブザーバビリティシステムには、Prometheus、Grafana、Jaeger、Elastic Stackなどがあります。これらのシステムは、それぞれ異なる機能や特徴を持ち、特定のニーズや要件に応じて選択されます。例えば、Prometheusはメトリクスの収集とアラートに強みがあり、Grafanaはデータの可視化に特化しています。

 総じて、オブザーバビリティシステムは、システムの透明性を高め、運用効率を向上させるための不可欠な要素です。これらのシステムを効果的に活用することで、システムの健全性を維持し、ビジネスの信頼性を高めることが可能となります。

オブザーバビリティシステムの主な機能

 オブザーバビリティシステムは、システムの状態や動作を詳細に把握し、問題の早期発見や解決を支援するための強力な機能を提供します。以下に、オブザーバビリティシステムの主な機能について詳しく説明します。

ログ管理機能

 システム全体から集めたログデータを一元管理し、リアルタイムで分析することが可能です。これにより、異常な動作やエラーの発生箇所を迅速に特定することができます。

メトリクス収集と可視化機能

 CPU使用率、メモリ消費量、ディスクI/Oなどのシステムパフォーマンスに関わるデータを収集し、ダッシュボードで視覚的に表示します。この機能により、システムの健康状態を一目で把握でき、パフォーマンスのボトルネックを即座に発見することができます。

トレース機能

 システム内の各コンポーネント間の通信やデータフローを追跡し、リクエストの流れを詳細に記録します。これにより、問題の発生源やその影響範囲を正確に特定することができます。

アラートと通知機能

 設定した閾値を超える異常が検出された場合、即座にアラートを発し、担当者に通知します。これにより、問題が顕在化する前に対処することが可能となり、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

分析とレポーティング機能

 集めたデータを基に詳細な分析を行い、定期的なレポートを生成します。これにより、長期的なトレンドを把握し、予防的なメンテナンスやリソースの最適化に役立てることができます。

インテグレーション機能

 オブザーバビリティシステムは他のシステムやプラットフォームと連携し、データの集約と一貫した管理を実現します。これにより、複数のシステムを使用する場合でも、一元的に監視と管理が可能となります。

 これらの機能を活用することで、システムの健全性を維持し、迅速かつ効果的な問題解決が可能となります。

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オブザーバビリティシステム選定する際の比較項目

 オブザーバビリティシステムを選定する際には、いくつかの重要な比較項目があります。

データ収集能力で比較すべき理由

 データ収集能力が重要です。システムがどの種類のデータ(ログ、メトリクス、トレースなど)を収集できるか、そしてそのデータをどの程度リアルタイムで取得できるかを確認すべきです。次に、データの可視化機能です。直感的で使いやすいダッシュボードが提供されているかどうか、カスタマイズ可能なグラフやチャートが用意されているかをチェックしましょう。

アラート機能で比較すべき理由

 アラート機能も欠かせません。異常が発生した際に迅速に通知を受け取るための設定が容易であるか、アラートの条件を柔軟にカスタマイズできるかがポイントです。また、異常検知の精度も重要です。機械学習やAI機能を活用して、異常を自動で検知し、予測する機能があると、より高度な対応が可能になります。

 インテグレーションの容易さも見逃せない要素です。既存のシステムや他のツールとの連携がスムーズに行えるか、APIの提供状況や外部サービスとの接続性を確認しましょう。さらに、スケーラビリティも考慮が必要です。システムが拡大した際にオブザーバビリティシステムがどの程度対応できるか、パフォーマンスに問題がないかを確認します。

 コスト面の比較も重要です。初期費用だけでなく、運用コストや追加機能の費用など、トータルコストを把握することが必要です。また、ユーザーサポートの質も重要な比較項目です。サポート体制が充実しているか、問題が発生した際に迅速に対応してくれるかを確認しましょう。

 最後に、セキュリティ機能も忘れてはなりません。データの暗号化やアクセス制御など、セキュリティ対策がしっかりしているかを確認することが重要です。これらの項目を総合的に評価し、自社に最適なオブザーバビリティシステムを選定することが成功の鍵となります。

まとめ

 オブザーバビリティの重要性と、適切なシステム選定のための比較項目について理解を深めることができました。オブザーバビリティは、現代のITインフラにおいて不可欠な要素となっており、特にマイクロサービスやDevOpsの導入が進む中で、その必要性はますます高まっています。オブザーバビリティを高めるためには、データ収集、データ分析、データ可視化の3要素が鍵となります。それらを支えるシステムの選定においては、データ収集能力やアラート機能といった特定の機能に注目することが重要です。これらの比較項目を考慮することで、組織のニーズに最適なシステムを選ぶことができます。オブザーバビリティの成熟度を測るモデルも活用し、定期的な評価と改善を行うことで、より高いレベルのオブザーバビリティを実現し、システムの信頼性とパフォーマンスの向上を図りましょう。これからも変化する技術環境において、効果的なオブザーバビリティ戦略を構築することが、競争力を維持する鍵となります。

 オージス総研のサービスである「運用自動化ソリューション Cloud Arch」は、オブザーバビリティと自動実行やAI分析を組み合わせて、ITシステム運用全体の効率化につなげることができます。ぜひご検討ください。

2024年11月25日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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