システム・サーバー運用業務の自動化が進まない理由と運用自動化を成功に導くポイント
運用自動化が進まない理由
システム運用の現場では、クラウド利用の促進やDXと言ってシステム数が増大、運用は多様化し人手での運用は限界となっていることだと思います。運用管理者や運用オペレータからは、以下のような声(抜粋)がよく聞かれます。
- 作業量が多く、オペレーションミスがたびたび発生する
- 社内外から運用コストの削減を求められる
- システム環境の変化に対応できていない
- 一部の担当者しか知らない属人化した作業がある
- 運用現場のモチベーションが上がらない
こういった状況を改善するために運用自動化があります。運用自動化は人手での運用を削減するだけでなくオペレーションミスを防ぎシステム運用の品質と安定稼働も実現できます。しかし自動化しようとしても、なかなか進まないということが多いのではないでしょうか。自動化ツールを導入したものの効果が出せず失敗したと言う管理者の声をよく聞きます。なぜ思うように進まず、失敗してしまうのでしょう。
それは現場のオペレータや運用現場の管理者、経営陣にとそれぞれに課題や問題があり、これらを理解しないままに自動化を進めたことが原因と考えられます。
運用現場が自動化をしたがらない
実際の運用現場では、多様化したシステム運用であっても人手によってなんとか運用できているので、自動化の必要性を感じていなかったり、自分たちの仕事を奪われるのではないかと反発したりとこれまで人で培ってきた運用を変えることに抵抗感を抱き、自ら自動化をしたがらない傾向がよく見られます。
運用業務の負担が大きく時間が取れない
自動化を進めるうえで重要になるのが、作業の見える化となります。運用現場の作業を棚卸し、どこから自動化すれば効果が出るかを見極めてから始めるのが良いでしょう。とはいえ、いざ棚卸させようとしても現場の実情は、多様化・複雑化したシステムの管理や監視、定常業務に追われていたり、そもそも現状の運用課題を解決することに時間を取られていたりと運用メンバーの負担が大きく自動化を進めるための時間を取れないのが現実です。
また、どこの運用現場も同じですが、トラブルなどが起きると原因調査、復旧作業など突発業務が発生すると業務に必要な最低限の要員で運営していることもあり、さらに時間を取ることは困難になっています。
運用業務が属人化している
属人化は、以前からよく言われていることですが、システム運用の現場では特に問題視されるようになっています。コストセンターと言われがちな運用現場では、コスト削減が求められる中で増員などが行われないことや、ローテションも少なく人の入れ替わりが無いことが最大の要因だと考えます。結果、特定のメンバーが特定の業務を長く続けることになり、そのメンバーに頼らざる得ない状況すなわち属人化になっているのだと思います。運用経験と知識が豊富なことは間違いないですが、システムが多様化・複雑化する状況では、今いるメンバーだけでは限界が来るもしくは来ているのではないでしょうか。また仮に新しいメンバーを増員できたとしても、多様化した運用に追われ時間をかけて教育することができず、属人化の解消は難しいはずです。こんな状態では自動化を進めたとしても上手くいかなくて当たり前となります。
現場管理者が経営陣に運用自動化の必要性を説明しきれていない
先にも少し述べましたが、システム運用の現場はコストセンターと言われています。特に経営陣からは当たり前のように言われます。手順に従った作業なのだから、できて当たり前だとか、ミスをすれば叩かれるなど、日々システムの安定稼働に苦労しているのにそれを評価されず悔しい思いをされている現場管理者も多いでしょう。そのうえ、コスト削減を要求されるのが運用です。そのために運用自動化が1つの手段になるわけですが、安易にコスト削減を掲げて自動化を進めていないでしょうか。当然それなりの投資が必要になりますので、コスト削減を重視することは間違いではないのですが、それ以外のメリットである品質担保、属人化解消、人材不足解消など、自動化の必要性や効果を経営陣に十分理解してもらったうえで自動化を始めなければ、いざ導入の段階で改めて必要性を問われたり、途中で成果や効果についてとやかく言われたりと、思わぬところでブレーキをかけられてしまいます。
運用自動化が進まない障壁を突破する方法
運用自動化が進まない「6つの社内障壁」とその突破方法を解説した資料がダウンロードできます。下記の6つの社内障壁についてどのように突破するのか、弊社のサービスと合わせてご紹介しています。
1. 何を自動化すれば良いかわからず進まない
2. 自動化の費用対効果がわからず進まない
3. 自動化後のイメージがわからず進まない
4. 運用担当者の協力が得られず進まない
5. すでに導入しているシステムの変更が難しく進まない
6. AIなど、一歩先の自動化を求められ進まない
運用自動化を成功に導くポイント
一部の作業から自動化に取り組み、自動化の効果を体験させる
自動化推進の理想は全作業を棚卸して見える化し、さらに標準化して最も効果の高いものから進めることですが、これには時間も労力もかかり、運用現場からすると「自動化する方が面倒」となってしまい、自動化をしたがらなくなります。ですので、一部の作業から自動化していくのが良いでしょう。運用現場の作業には、日々繰り返されている作業や明らかに人でなくともできる作業があると思います。こういった作業は手順などが整備されているはずで、ある種の見える化できているケースが多く、自動化がしやすいものになります。オペレータ自身も「毎日同じ作業で面倒」と実際には思っていることが多く、「楽になるなら・・・」と抵抗感を弱めます。また、1つでも自動化ができれば面倒な作業が無くなり、自動化の効果を実感するので、さらに抵抗感が弱まります。現場オペレータには、工数削減ではなく自身の作業が楽になることを伝えるのが重要になってきます。
空いた時間でさらに運用業務を見える化させたり、スキルアップを図らせる
自動化で空いた時間の使い方ですが、まずはさらなる自動化の推進にあてるようにすることです。自動化を日々の業務に定着させましょう。時間が無くこれまで進まなかった作業の見える化も空き時間ができたことで、負担を増やすことなくできるので属人化の解消も進みます。また、自動化が進むとどんどん時間が空いてきますので、自動化だけでなく色々なことにチャレンジさせることができます。スキルアップのためにセミナーに参加させたり、資格取得の勉強をさせたりと有効に時間を使わせることも重要です。
あと、管理者の方は、自動化できたこと、スキルアップするための勉強をしていることに対してしっかり評価してあげてください。メンバーのモチベーションを上げるためにも有効です。
経営陣には段階的に自動化した効果を説明し、さらに自動化への取り組みの理解を得る
さて、経営陣に対してです。先に書いた通り自動化の必要性や効果を事前にしっかり説明しておくことも重要なのですが、自動化した結果の効果についても段階的に説明しておくことが必要です。
これは、自動化がツールを導入すればすぐに大きな効果が出るわけではなく、ある程度の時間が必要なものと理解を得ておくためと、確実に効果が出ていることをアピールしておくためです。こうすることで思わぬところでブレーキをかけられることも無くなりますし、必要性も感じてもらえ支援を得ることもできます。
オージス総研の運用自動化事例
年間7,500時間の運用業務工数を削減!
弊社は2017年より自動化の検討を進め、2018年に自動化ツール(フィックスポイント社:Kompira)を導入し、3年目には7,500時間の工数削減に成功しています。これはオペレータ4人分に相当します。検討当時の運用現場ではオンプレミス環境に加え、パブリッククラウドの利用やコンテナなどのクラウドネイティブの技術も相まって、監視や運用するシステムが爆発的に増加。当然それらに対する作業も増え、人手での運用に限界を感じていました。自動化するために業務の棚卸と分析をした結果、監視アラートに対する一連の作業※が全体のおよそ3分の1を占めていることが分かり、まずは監視業務の自動化に着手し、1年目にして1,700時間もの工数削減に成功し、その後も段階的に各種自動化を進め、結果を出しています。
※監視アラートに対する一連の作業(例)
アラート監視 ⇒ 連絡可否判断 ⇒ 担当連絡先の検索 ⇒ 担当者へ架電 ⇒ インシデント登録
オペレータをSEへスキルチェンジ
効果は、工数削減だけではありません。自動化で空いた時間を使ってのさらなる自動化推進に加え、スキルアップのための勉強時間に使うこともできています。実際に数名のオペレータが自動化エンジニアとしてSEにスキルチェンジし、お客様の自動化をご支援しているメンバーもいます。昨今、IT人材不足と言われている中で、社内から新たな人材を生み出せたことは大きな効果です。
運用自動化が進まない障壁を突破する方法
運用自動化が進まない「6つの社内障壁」とその突破方法を解説した資料がダウンロードできます。下記の6つの社内障壁についてどのように突破するのか、弊社のサービスと合わせてご紹介しています。
1. 何を自動化すれば良いかわからず進まない
2. 自動化の費用対効果がわからず進まない
3. 自動化後のイメージがわからず進まない
4. 運用担当者の協力が得られず進まない
5. すでに導入しているシステムの変更が難しく進まない
6. AIなど、一歩先の自動化を求められ進まない
まとめ
運用自動化を失敗させないためには、現場のオペレータや運用現場の管理者、経営陣それぞれへの課題と問題を理解し、それぞれへの対応が必要です。
- 一部の作業から自動化に取り組み、現場メンバーの抵抗感を減らす
- 空いた時間は有効に使い、自動化だけでなくスキルアップにも使う
- 経営陣には事前は元より段階的に効果を説明し自動化への理解を得る
これらは管理者の方にとっては苦労なことですが、自動化を成功に導くためのポイントになりますので、しっかり実践いただければと思います。とはいえ、自身だけでは限界もあるでしょうから、昨今は自動化を得意とするITベンダーが沢山ありますので、支援を求めることも有効でしょう。
オージス総研では、これまで培ってきましたノウハウをもとに、人ありきのレガシーなシステム運用や、クラウド利用により複雑化したシステム運用を容易に自動化ができる、運用自動化ソリューション「Cloud Arch」を提供しています。スモールスタートしやすい豊富な自動化メニュー(テンプレート)を取り揃えていることに加え、有資格エンジニアがお客様環境に合わせてカスタマイズすることも可能です。自動化が進まないとお悩みを抱えている方へ弊社がご支援させていただきます。無料で試行いただける環境(障害アラート自動コール試行版)もご用意しておりますので、ご興味のある方はぜひともお問い合わせください。
※Kompiraは(株)フィックスポイントの商標登録となります。
※(株)オージス総研はKompiraの正規販売パートナーです。
2022年5月13日
運用自動化ソリューション「Cloud Arch」概要資料
ハイブリッドクラウドの運用自動化ソリューション「Cloud Arch」のできることなどを解説した概要資料です。クラウド運用の「Before/After」、人手不足解消の「Before/After」、インシデント対応の「Before/After」など、導入後のイメージについてご紹介しています。
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
関連サービス
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運用自動化ソリューション「Cloud Arch」
オンプレミスシステムやプライベート / パブリッククラウドの複数サービスを利用しているシステム環境に対し、シームレスな運用自動化と統合監視の環境をご利用いただくことで複雑化するシステム運用の負担低減を実現します。
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Cloud Arch『障害アラート自動コール』試行版のご紹介
運用自動化ソリューション Cloud Archの『障害アラート自動コール』試行版を無料でお使いいただけます。
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