メインフレームとは?撤退か進化か、現状の課題と今後の選択肢

大規模な業務処理を支えるメインフレームは、今なお多くの企業や官公庁の中核に存在します。一方で、老朽化や人材不足といった課題も顕在化しています。本コラムでは、メインフレームの基本から現状、今後はどうなるかをわかりやすく解説します。

メインフレームとは?意味や特徴、定義を解説

メインフレームとは?

メインフレームとは、大量のトランザクション処理や高い可用性が求められる業務に対応するために設計された高性能なコンピューターです。特に、金融、製造、公共インフラなどの業界で、基幹業務を支える中核的存在として利用されています。「企業のシステムを支える心臓部」とも呼ばれ、組織の運用を支える要となっています。

メインフレームの特徴

メインフレームは、基幹業務を長期にわたり支えるために設計された堅牢なコンピューターシステムです。ダウンタイムの最小化、高速なトランザクション処理、高い稼働率といった特徴があります。専用OSやソフトウェアによる統合管理も、信頼性の維持に寄与しています。

  • 高信頼性と可用性 : ダウンタイムを極限まで削減
  • 処理性能の高さ : 大量のデータやトランザクションに対応
  • 長期間の運用 : 長期間の稼働が前提の設計
  • 専用OSとソフトウェア : ベンダーによる高い統合性

メインフレームの主な役割

メインフレームは、企業や官公庁の基幹業務において中枢を担う存在です。特に金融機関における取引データのリアルタイム処理や、大量のトランザクション処理、在庫・受発注といった業務に不可欠です。また、大規模なデータベースを高い整合性で管理できる点も特徴であり、24時間365日の安定運用が求められる環境でその真価を発揮します。こうした特性により、重要インフラやミッションクリティカルなシステムでの利用が続いています。

メインフレームのメリット

    メインフレームは、業務継続が絶対条件の基幹システムに最適です。高いセキュリティー性能、膨大なデータ処理能力、長期間の安定稼働実績があり、複数のCPUを活用して並列処理できる点も大きな強みです。
  • 高いセキュリティー水準
  • 長期運用による信頼性
  • 大量データ処理に優れる
  • 複数のCPUを活用して業務を同時並行で処理

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メインフレームとの違い

メインフレームとホストコンピューターの違い

ホストコンピューターとは、ネットワーク上で中心的な処理を担うコンピューターで、役割を表しております。
メインフレームもホストとして使われることが多いですが、サーバーでも代替可能です。

メインフレームと汎用機の違い

汎用機とは、多用途に使える大型コンピューターの総称。科学技術計算や業務処理など幅広く対応しています。
メインフレームはその中でも、業務処理に特化した高信頼機であり、汎用機の一種になります。

メインフレームとオープンシステムの違い

オープンシステムとは、UNIXやTCP/IPなど標準技術を採用した開かれたシステム環境で、異機種連携がしやすいのが特徴です。
メインフレームのようなベンダー依存のクローズドな仕組みとは対照的になります。

メインフレームとサーバーの違い

サーバーとは、ネットワーク上で他の端末にサービス(Web、メール、ファイル共有など)を提供するコンピューターを指します。
メインフレームもサーバーの一種ですが、一般的なサーバーより信頼性・処理性能・運用継続性が格段に高いのが特徴です。

分類用語備考
ハード分類汎用機/メインフレーム物理的に大規模な業務用マシン
役割分類ホストコンピューター中心として動く役割のコンピューター
技術分類オープンシステム標準技術ベースで構築された開かれたシステム群
用途分類サーバーファイル共有やWeb提供など機能ベース
項目汎用機メインフレームホストコンピューターオープンシステムサーバー
定義・意味多用途に使える大型コンピューターの総称基幹業務向けに特化した汎用機他の端末を管理する中心的コンピューター標準技術ベースで構築された開かれたシステム他の機器にサービスを提供するコンピューター
技術の性質クローズド(ベンダー依存が多い)非常にクローズド特定技術ではなく「役割」オープン(標準技術ベース)ハード・ソフトともに多様
主な用途科学計算、業務処理など多岐にわたる金融・行政・基幹業務処理に特化ネットワークの中心、管理側Web、業務アプリ、クラウドなどファイル、Web、DB、メールなど
現代での使われ方歴史的な用語として登場現在も現役で使用されているサーバーやメインフレームを指して使われる一般的な企業システムの主流日常的に使われるIT用語
代表的な例IBM System/360 などIBM Z、富士通GS21などIBMメインフレーム、UNIXサーバーなどUNIX/Linux、Windows ServerなどWebサーバー、DBサーバー

メインフレームの主な種類

IBM Zシリーズ

世界的に最も広く採用されているメインフレームで、z/OSなどの専用OSで稼働。高度なセキュリティー機能とAI対応機能を持ち、進化を続けています。

富士通 GS21シリーズ

国内企業・官公庁で幅広く導入。高い日本語対応力と保守体制に強みがあります。

日立 AP8000シリーズ

長年にわたり公共・金融分野での信頼を積み重ねてきたシリーズで、堅牢性と安定稼働が評価されています。


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メインフレームの用途例

製造業でのメインフレーム活用

製造業では、生産計画や資材管理のリアルタイム処理、複数工場のデータ統合、品質管理などにメインフレームが活用されています。安定稼働が求められる生産現場において、膨大なトランザクションやロットトレースなど、高信頼な処理が可能な点が評価されています。
  • 生産計画・資材管理のリアルタイム処理
  • 各工場とのデータ統合管理
  • 品質管理とロットトレース機能

金融業界でのメインフレーム活用

金融業界では、銀行の勘定系処理やATM・オンラインバンキングの即時処理、送金や照会業務などにおいて、メインフレームが中心的役割を果たしています。厳格なセキュリティー要件や高い可用性、法規制対応が求められる環境下でも、安定稼働と高速処理を実現できる点が高く評価されています。
  • 勘定系トランザクションの即時処理
  • 銀行間の送金処理や照会
  • 法規制・監査対応機能

官公庁・自治体でのメインフレーム活用

官公庁や地方自治体では、住民基本台帳、税務、福祉、選挙管理など、膨大かつ機密性の高い行政データの管理にメインフレームが活用されています。長期にわたる安定稼働と高セキュリティー性が求められる中で、メインフレームは不可欠な基盤となっています。
  • 住民基本台帳や税務データなどの基幹系情報の一元管理
  • 福祉・年金・医療などの行政サービスの情報処理
  • 選挙管理、戸籍管理などの正確性と長期保管が必要な業務

メインフレームの今と課題

メインフレームの現状

メインフレームは現在も多くの企業の中枢で稼働していますが、時代の変化とともにさまざまな課題に直面しています。モダナイゼーション(近代化)やクラウド活用の流れの中で、メインフレームの役割が再定義されつつあります。

メインフレームの課題1「人材不足と属人化」

COBOL等の古い言語を扱える人材が減少。担当者の高齢化や退職により、知見の属人化が進んでおり、業務継続のリスクとなっています。

メインフレームの課題2「高額な運用コスト」

専用ハード・ソフトの保守費用、ベンダーへの依存コスト、限られた対応人員による間接コストなど、全体としてコストが高騰する傾向にあります。

メインフレームの課題3「システムの老朽化」

構築から30年以上経過したシステムも珍しくなく、ドキュメント未整備やブラックボックス化が進んでいます。結果として、ちょっとした改修でも影響範囲が読めず、開発効率を大きく阻害しています。

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メインフレームは今後どうなるか?「進化と共存の将来像」

オープン化する

メインフレーム単体の強みを維持しつつ、API連携による他システムとの融合が進んでいます。段階的なクラウド連携も検討されるようになってきました。

AIにより進化したメインフレームの登場

運用データをAIで分析し、障害予兆検知やパフォーマンスチューニングを自動化します。これにより、運用部門の負荷軽減とシステム安定性が向上します。

メインフレームとクラウドのハイブリッド運用

基幹はメインフレーム、フロント・データ分析はクラウドという使い分けが現実的な選択肢になります。Cloud Archのようなツールにより、段階的モダナイゼーションが可能になります。

Cloud Archによるメインフレームソリューション

Cloud Archとは?

Cloud Arch(クラウドアーチ)は、オージス総研が提供する運用自動化ソリューションです。メインフレームの運用を「見える化」「自動化」「標準化」することで、課題解決を支援します。

Cloud Archでメインフレームのどんな課題を解決できるか?

  • 属人化 : ジョブや運用手順の可視化で、知識の形式知化
  • 運用コスト : 定型業務の自動化による人的リソース削減
  • 老朽化 : ジョブの整理・標準化により、将来のマイグレーションに備えた運用基盤を構築

属人化 : ジョブや運用手順の可視化で、知識の形式知化

メインフレームの未来は「終焉」ではなく、「進化と共存」です。長年にわたる信頼性を活かしつつ、周辺環境と連携することで、むしろその価値は高まっています。

    Cloud Archを活用することで、
  • 属人化の解消
  • 運用コストの削減
  • 将来に向けた柔軟な運用設計
  • が実現できます。
    まずは、お客様の運用課題を一緒に整理してみませんか?

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2025年6月27日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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