Splunkとは?ログ監視や分析、セキュリティ強化などを解説【スプランク入門】

 皆さんはSplunkをご存じでしょうか。ITシステム運用をされている企業では、一度は見聞きしたことがあるという方も少なくないと存じます。
 本コラムでは、機能説明や事例を中心にSplunkの有用性をご説明します。

Splunk(スプランク)とは?ログやSPLの有効活用により先進的システム運用を実現

 SplunkはSplunk社が開発した統合ログ管理ソリューションであり、あらゆるITシステムから生成されるマシンデータを収集しSPLを使って、「検索」「分析」「可視化」を実現します。マシンデータとは、会社のデータセンターにあるようなオンプレミスのサーバーや情報システムのログなどあらゆる機器から出力されるデータです。
 Splunkではマシンデータをはじめとするさまざまなデータを分析することができるため、迅速なインシデントの原因解析・可視化が可能となります。
Splunkの活用事例「インシデント早期発見のための業務可視化分析」
Splunkの活用事例「インシデント早期発見のための業務可視化分析」
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資料の主な掲載内容
●Web会議室の利用実績の調査
●不正なファイルアップロードの調査

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Splunkでできることとは?可視化ダッシュボードのサンプルとAI分析の事例
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資料の主な掲載内容
●可視化ダッシュボードのサンプル画面スクショ
●AI分析の事例
●Splunkでできることのまとめ

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Splunkの会社概要

 Splunk Inc.は、2003年に設立されたアメリカのソフトウェア企業で、主にデータ分析および可視化ソリューションを提供しています。同社は、あらゆる形式のマシンデータを収集、分析、活用するプラットフォームを開発しており、IT運用、セキュリティ、ビジネス分析などの分野で幅広く活用されています。
 本社はカリフォルニア州サンフランシスコにあり、現在では世界中の企業や組織にサービスを展開しています。Splunkの製品は、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援し、データドリブンな意思決定を促進する役割を果たしています。

Splunkの製品ラインアップ

Splunk Cloud Platform

 Splunk Cloud Platformは、クラウド上で提供されるデータ分析・可視化基盤です。ログやメトリクス、イベントなどの膨大なマシンデータをリアルタイムに収集・分析し、運用監視からセキュリティまで幅広い用途に対応します。オンプレミス環境を持たない企業でも、インフラ構築や運用負担を軽減しながら、すぐにデータ分析を始められる点が特長です。スケーラビリティや可用性にも優れており、クラウド移行を進める企業に適した選択肢です。

Splunk Enterprise

 Splunk Enterpriseは、オンプレミス環境で導入できるデータ分析基盤です。自社内に構築されたシステムやネットワークから収集したデータを統合的に可視化し、障害予兆検知やセキュリティ分析に活用できます。柔軟なカスタマイズが可能で、セキュリティポリシー上クラウド利用が制限される環境にも対応可能です。自社の運用要件に合わせたデータ管理や分析を行いたい企業に適しています。

Splunk Attack Analyzer

 Splunk Attack Analyzerは、マルウェアやフィッシングなどの攻撃手法を自動分析し、脅威の全体像を可視化するツールです。攻撃チェーンを時系列でトレースし、インシデント対応チームが迅速に対応策を立てられるよう支援します。既存のセキュリティ製品やSIEMと連携することで、分析精度を高め、SOC(Security Operation Center)の効率的な運用に貢献します。

Splunk Enterprise Security

 Splunk Enterprise Security(ES)は、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)プラットフォームです。企業内のログデータを横断的に分析し、異常な挙動や脅威をリアルタイムで検知します。ダッシュボード上でセキュリティリスクを可視化し、優先度の高いアラートを提示することで、限られた人員でも迅速な対応を可能にします。ゼロトラストやクラウド環境のセキュリティ強化にも対応しています。

Splunk SOAR

 Splunk SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)は、セキュリティ運用を自動化するプラットフォームです。インシデント対応フローをあらかじめ定義し、検知から分析、対応までのプロセスを自動化します。人手による対応を減らし、セキュリティチームの負担を軽減するとともに、対応スピードを大幅に向上できます。運用自動化の観点からも、Cloud Archが目指す「人手に依存しない安定運用」と親和性の高いソリューションです。

Splunk APM(Application Performance Monitoring)

 Splunk APMは、アプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで監視・分析するツールです。分散トレーシングによって、マイクロサービス環境やクラウドネイティブアプリのボトルネックを特定します。開発チームや運用チームが同じデータをもとに改善策を検討できるため、MTTR(平均復旧時間)の短縮やユーザー体験の向上につながります。アプリケーション監視の高度化を図るうえで有効な手段です。

Splunk Infrastructure Monitoring

 Splunk Infrastructure Monitoringは、サーバーやコンテナ、ネットワーク機器などインフラ全体の状態を可視化するモニタリングツールです。メトリクスをリアルタイムに収集し、異常検知やリソース最適化を支援します。特にクラウド環境やKubernetesを利用する企業において、動的に変化するリソースを安定的に監視できる点が強みです。インフラ監視の自動化を進める基盤としても活用できます。

Splunk IT Service Intelligence

 Splunk IT Service Intelligence(ITSI)は、IT運用全体をサービス単位で可視化する運用インテリジェンスプラットフォームです。複数システムからのイベントやメトリクスを統合し、重要サービスの稼働状況をリアルタイムに把握できます。AIによる異常検知や根本原因分析機能を備え、障害対応の迅速化とサービスレベルの安定化を支援します。Cloud Archと組み合わせることで、運用プロセスのさらなる自動化が期待できます。

Splunk for Industrial IoT

Splunk for Industrial IoTは、製造業やエネルギー業など産業分野に特化したデータ分析ソリューションです。センサーや制御装置などのOT(Operational Technology)データをITデータと統合して分析し、設備稼働状況の可視化や予知保全に活用します。異常の兆候を早期に検知し、ダウンタイムの最小化や生産性向上を実現します。DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める製造業にとって、重要なデータ基盤となります。

Splunkの機能

 ここからは、実際の機能についてご説明します。

1. ITシステムからのログ収集

 Splunkは、サーバーログやファイアウォールの認証ログなど、あらゆるデータを収集することができます。取り込めるデータの種類が多いだけでなく、データの収集方法もさまざまな方式に対応しています。ログファイルが保存されているディレクトリを監視してログを取り込んだり、HTTPイベントを活用して取り込んだりできます。収集したデータはインデックス化されて一元管理されます。

2. ログの分析と解析「SplunkのSPL」

 SPL (Search Processing Language) というSplunk社独自のサーチコマンドを実行することで膨大なログデータからほしい情報を高速検索できます。
 また、検索結果をリアルタイムで表示することができるため、問題の迅速な特定と解決が可能です。拡張性も高く、多数のアドオンが用意されており、機械学習などの高度なデータ分析を行えます。
 例えば、機械学習を使用して、データの傾向やパターンを分析することもでき、分析結果から異常なパターンを自動的に検出するといったことも可能です。

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サーバーのアクセスログを検索する一例

3. データの可視化

 Splunkでは、棒グラフや円グラフ、時系列チャートなど、さまざまな形式で可視化することができます。
 これらを使用することでデータを視覚的に表現できるようになり、障害に結び付く傾向や予兆を迅速に把握することもできます。
 また、複数の情報を同時に可視化するためのダッシュボードも作成できます。

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ネットワーク機器の可視化・分析の一例

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Splunkで選択できる可視化オプションの一例

4. アラート

 特定のイベントが発生した場合やユーザーが作成した検索条件に一致する場合に、アラート通知を自動的に送信する機能があります。アラートは、複数の条件に基づいてトリガーすることができます。
 例えば、指定したWEBサーバー上で一定時間にしきい値以上のエラーが発生したら担当者にメール通知する、といった条件指定が可能です。
 また、多様な通知方式に対応しており、電子メール、SMS、Webhook等、さまざまな方法で通知を受け取ることができます。
Splunkの活用事例「インシデント早期発見のための業務可視化分析」
Splunkの活用事例「インシデント早期発見のための業務可視化分析」
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資料の主な掲載内容
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●可視化ダッシュボードのサンプル画面スクショ
●AI分析の事例
●Splunkでできることのまとめ

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Splunkの特徴

 Splunkの特徴は、その強力なデータ収集・分析・可視化機能にあります。ITシステムから生成されるマシンデータをリアルタイムで収集し、そのデータをもとに迅速なインシデントの原因解析や可視化を実現します。これにより、システムの異常を早期に検知し、問題の解決に向けた迅速な対応が可能となります。

 また、Splunkはさまざまな製品を提供しており、それぞれが特化した機能を持っています。例えば、Splunk Enterpriseは統合プラットフォームに特化し、Splunk Security群は高度なセキュリティを実現し、Splunk Observability群はオブザーバビリティに特化しています。これらの製品を選択することで、より高度なデータの利用が可能となります。

 さらに、Splunkの機能を活用することで、異常検知と冗長なアラートの削減、障害の予兆検知と原因分析、属人化した業務の平準化、調査レポートの活用などのメリットが得られます。これらの特徴により、Splunkは多くの企業でITシステムの運用・管理に活用されています。

Splunkのセキュリティについて

 Splunkは、前述している機能であるデータ収集やSPL、データ可視化、アラート等の機能を利用することでさまざまなセキュリティ課題を解決できます。
例えば、社内でのデータ持ち出しを検知し、社内情報の漏えいを防ぐことが可能なため、情報漏えいのリスクを軽減できます。また、複数のセキュリティ機器のログを横断的に分析できるので、セキュリティインシデント発生時のログ分析時間が大幅に削減できます。
 AIの機械学習機能を利用することにより、正常なデータとは異なる通信、例えば急激な通信量の増加やアクセス元IPアドレスの分析等のこれまでとは傾向の異なる操作から攻撃の予兆を検知し、標準型攻撃や不正ログインなどの外部からの攻撃を未然に防ぐことができます。

Splunkのメリット

 ここからは、Splunkの機能を理解し上手く利用することで得られるメリットについてご説明します。

1. 異常検知と冗長なアラートの削減

 インシデント発生時は、対応が遅れてしまうとさまざまな問題を引き起こす可能性があるため、迅速に対応するための仕組みが必要となります。しきい値による検知も可能ですが、対応不要なアラートが多発してしまい、重要なアラートが埋もれてしまう恐れがあります。
 そういったケースにおいて、Splunkに組み込まれる統計的手法や機械学習モデルを活用することで、過去のログ傾向から可変のしきい値を設定するなど、対応が必要なアラートだけに絞ることが可能です。これによりシステム管理者は、アラートの見逃しがなくなり、不要アラートへの対応工数が削減できます。

2. 障害の予兆検知と原因分析

 インシデントが発生した際に迅速に対応することはもちろんのことながら、前もってシステムを停止させない運用も重要です。
 Splunkではシステムログを一元管理できるため、単一データの周期性だけでなく複数データの相関性の変化を分析し、障害に結び付く予兆を検知できます。
 また、一元管理されたデータから因果関係を可視化し、問題箇所を特定することも可能になります。
 Splunkを使用して予兆を検知し、原因分析結果から事前に対処することはエンドユーザーへのメリット以外にも、システム管理者の負担を軽くすることにもつながります。

3. 属人化した業務の平準化

 ログ分析はデータ分析技術やシステム自体の理解が必要となり、専門性が高い業務として属人化しやすい傾向にあります。
 特にインシデント調査のように迅速な判断が求められる場合には、不偏的な手順やルールをあらかじめ定めることは難しいため、特定の有識者の裁量で進められることが多いでしょう。
 Splunkでは、有識者が調査コマンドからインシデント調査用ダッシュボードをあらかじめ設定しておくことで、有識者以外でも必要な情報を出力でき、属人化された業務の平準化が可能です。

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ネットワーク機器の性能監視ダッシュボードの一例

4. 調査レポートの活用

 従来のインシデント調査では調査結果をExcel等で整形し、お客様が見やすい形に変換したうえでファイル出力する必要がありました。
 Splunkではダッシュボードでの分析結果をPDFやCSV形式で出力できるため、Splunk内で確認するだけでなく別資料への活用も可能です。

オージス総研のSplunk活用サービス「Cloud Arch」

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 このように、Splunkを導入することで散らばったデータの一元管理だけでなく、インシデント対応の効率化や属人化の解消が実現できます。
 オージス総研では、Splunkも活用した運用自動化ソリューション 『Cloud Arch』を提供しています。
 Cloud Archではお客様環境に合わせてSplunkを構築するだけでなく、Splunkだけでは実現できない、人手作業の自動化も実現いたします。

Splunkの活用事例「インシデント早期発見のための業務可視化分析」
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●可視化ダッシュボードのサンプル画面スクショ
●AI分析の事例
●Splunkでできることのまとめ

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2023年8月10日公開
2025年11月20日更新
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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