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「スマートグリッド社会成熟度モデルと人工知能」
2018.01.24 株式会社オージス総研 乾 昌弘
1.はじめに
(2)ここでは、「スマートグリッド社会成熟度モデル」の概要を述べ、人工知能などの先進技術との関連について説明したいと思います。
図1.本テーマの経緯
2.スマートグリッド社会成熟度モデル(文末の表を参照)
2-1.概要
(2)一般に、「スマートグリッド」は関係する要素を巻き込みながら、スマートエネルギー、スマートシティなどの言葉に変わってきている。いずれにしても東日本大震災後は、より一層重要になっている。
表1.5つの視点
2-2.特徴
(2)さらに電力に関して、大項目「時間帯別料金」「蓄電」を加え、実施すべき施策・方策を定めた。
(3)内容は改定していないが、基本的な考え方は今も有効であると考えている。
2-3.レベル3の特徴
(1)電力の「時間帯別料金」が設定される。HEMSでスマート家電の「時刻や優先順位設定」が可能となる。
(2)「情報アドバイス提供サービス」が実施される。自宅の消費量が類似家庭と比較できる。「省エネアドバイス」を受ける。など
(3)電気自動車を中心とした「蓄電」が普及している。など
(詳細は下記参照)
3.エネルギーシステムと人工知能
(機械学習の詳細は下記参照)
(制度の詳細は下記参照)
図2.機械学習による最適化
3-1.機械学習によるパターンの把握
○最初は手動で設定するのであるが、家に人がいる時間帯を自動で学習する。例えば、長時間不在なのにエアコンがオンになっていたら、自動的にオフにしてくれる。アメリカならではの状況であろう。
○さらに、クラウド上にデータを蓄積。需要予測とピークカットにより、節約費用の一部を利用者に還元する。
○具体的には、(A) 夜9時にたくさんのお湯を使う (B) 朝の時間帯から電気を一定量使っている場合、入浴までに必要なお湯を作るため、朝9時のタイミングで発電を開始する。(午前9時までは買電を使う)
図3.エネファームの学習機能
(http://home.tokyo-gas.co.jp/living/enefarm/panasonic/index.html)
3-2.ディープラーニングによる電力需要予測(参考文献1)
(RNNは下記も参照の事)
「論文紹介 A Recurrent Latent Variable Model for Sequential Data」
(2)「電力使用量」「気温」「湿度」の1時間単位の時系列データを入力し、その後の電力消費量の傾向を予測する。
(3)5~10時間程度先は良い精度で傾向予測が可能である。
3-3.ニューラルネットワークによる太陽光発電予測システム(参考文献2)
(2)「予測値」を結果として出力する。
図4.太陽光発電予測
4.Connected Industriesについて(参考文献3)
4-1.目的
(A) 様々な業種、企業、人、機械、データ等が繋がって
(B) AI等によって、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上させ
(C) 高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決する。
(2)「スマートグリッド社会」を支える重要な基盤となりえると考えている。
4-2.概要
(2)「保安」はSustainableな社会に必須のもので、電力分野での取り組み例では、異常予兆の把握や自動点検がある。
(3)「スマートライフ」を実現するためには、ライフに関するデータの有効活用が必要である。
「参考文献」
1. | 日本IBM 水谷好伸「ディープラーニングの概要と活用事例」Minskyで実現するディープラーニングの世界、2017年7月 |
2. | FKAIR 尾藤美紀「AI(人工知能)が変える太陽光発電システム」 第2回スマートエネルギー推進セミナ、2017年9月 |
3. | 経済産業省「Connected Industries」東京イニシャティブ2017、2017年10月 |
4. | 乾昌弘、他「低炭素社会をめざしたスマートグリッド社会成熟度モデル」経営情報学会2010年春季全国研究発表大会、2010年6月 |
5. | 乾昌弘、他「スマートグリッドが与える社会システムへの影響についての考察」2010年日本社会情報学会合同研究発表大会、2010年9月 |
6. | 乾昌弘、他「スマートグリッド社会成熟度モデルと課題整理」経営情報学2011年春季全国研究発表大会、2011年5月 |
「余談」
EVの方がガソリン車よりも自動運転に対して、反応が早いと言われている。
表2. スマートグリッド社会成熟度モデル+施策・方策(2009年度作成)
*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。
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