コロナ感染症支援の鍵はルールベース開発にあり
~DX時代にむけた現実的なIT化アプローチ~

新型コロナウイルス感染症にともなう経済対策として、政府や自治体、民間機関から補助金や助成金、融資など各種対策が打ち出されています。しかしながら、これら急務となる施策は、支援策定に時間がかかる、内容把握が困難で分かりづらい、申請者の手元に届くまで時間がかかるなどの課題があります。

今回は、日経新聞〔社説〕「政府のデジタル後進性をどう挽回するか」に取り上げられた新型コロナウイルス感染症に関する支援策の課題をIT視点で考察します。

新型コロナウイルス感染症支援の施策と課題

新型コロナウイルス感染症が広がり経済が停滞する中、政府は資金繰りに苦しむ企業や国民の支援を決定した。第二次補正予算案に盛り込み、支援事業の詳細が決定次第、経済産業省HP等で詳細を公表をしている。

早急な具体的支援策が求められるが、まだ詳細が詰まっていなかったり、新たに条項が追加されたり、申請条件が決まっても複雑なゆえに申請に戸惑うなど、課題が残ったままなのが現状である。6月3日付の日経新聞〔社説〕「政府のデジタル後進性をどう挽回するか」に問題の提起の一節があったが、 そもそも資金援助金が申請者の手に届くまで大変長い時間を要するという大きな問題を抱えたまま進行している。

支援策はビジネスルールで構成されている

支援事業の支援対象者への条件群は、ビジネスルールであり、ビジネスルールは本質的に試行錯誤の上、決定されるプロセスを経る。 今回、策定すべきビジネスルールは、日本国の経済と国民を救うためのものであるため、それぞれの要件にまたがり、約款にも似た難読性を伴う特性もあり、決定には時間がかかっていると容易に推測される。また、それら妥当性を検証するシミュレーションや窓口業務を含めた全体のシステム化にも時間がかかっていると思われる。

これら支援条件群のビジネスルールは、システム化する際、ビジネスロジックをうまく設計してシステム開発を行わないと、システム不具合を誘発したり、望まれる納期に間に合わないなどの事態を招く。とくに、変化量が多く、短納期をビジネス要求で求められるものについては、どのようにIT化するかは最重要課題といっても良い。

変化量が多く、短納期であるビジネス要求へのITアプローチ

オージス総研では、DX時代に市場の変化に追随するルールベース開発を推奨している。ルールベース開発は、ビジネスルールに着目し、絡み合い密となって分かりにくいビジネスロジックからビジネスルールを分離させ、ディシジョンサービスの形でアプリケーションから活用されるシステム開発を行う。

また、オージス総研が自社開発した『yonobi』を使用すれば、ビジネスユーザーは「決定表」という親しみがあり理解しやすい形で、専用のWebインターフェースを使って日本語でビジネスロジックを定義することができる。定義したビジネスロジックは『yonobi』で実行可能なJavaコンポーネントにビルドできるため、ビジネスユーザーはプログラミングなしでアプリケーションのビジネスロジックを変更可能である。

シンプルかつ分かりやすいルールベース

新型コロナウイルス施策にルールベース開発を適用するイメージを図を使ってご説明する。 経済産業省「新型コロナウイルス感染症特別貸付」に関連する記載の抜粋を例にとると、事業形態で融資条件などが変わるのだが、文章だとかなり読み解きが難しい。

■図1 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の関連記載抜粋
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※ 出典:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ」

これを決定表に表すと、文章では読み取りにくく読解力が必要であったり、類似した支援内容の冗長部分が整理されて、条件となる数値の基準も明確かつシンプルになる。

■図2 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の決定表
brms_c_03_01_03.jpg

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を『yonobi』で作成した場合は、下のようになる。 決定表と同様に理解しやすい形で、『yonobi』のWebインターフェースを使用して日本語でビジネスロジックを定義することができる。

■図3 「新型コロナウイルス感染症特別貸付」のyonobi画面
brms_c_03_01_04.jpg

DX時代の現実的なアプローチ

この方法であれば、施策内容を一番よく知る人が主役となりルールを記述することができるため、精度と生産性は向上する。今回の支援事業は、 新型コロナウイルス感染症特別貸付や新型コロナウイルス対策マル経融資、危機対応融資などに加え、民間金融機関の融資の各種支援メニューがあり、その条件も複雑であるが、『yonobi』を活用すれば、ITシステムに精通しない行政や金融の方々でも、ローコードで支援条件となるルール策定や、そのシミュレーションが簡単に行える。

そして、ビジネスユーザーとシステムエンジニアが互いに支援事業内容を理解し、システムを構築して発展させていくことが可能となり、ビジネス要求に従っていち早くシステムをリリースしていけるのである。今回浮き彫りとなったIT化の課題について、安倍政権がうたうデジタル化成長戦略(DX)に、大きな問題を提起した形となっている。

オージス総研は、DX時代に向けた現実的なアプローチが必要であり、それがルールベース開発であると確信し、ルールベース開発のソリューションをご提供している。


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