疲弊するシステム運用現場を自動化ソリューションにて改善する
めまぐるしく変化する現代のビジネス環境、その企業活動を支えるシステムはシステムを運用する技術者の絶え間ない努力にて運用されています。ビジネス環境もシステムも急激に変化している現在、安定したシステム運用はさらに重要になっています。このコラムではシステム運用現場の現状とその課題、解決案をお伝えします。
システム運用現場の現状は?
(1)複雑化・高度化し、増加していく管理すべきシステム
システム運用の現場は、日々の業務が複雑化・高度化する中で多くの課題に直面しています。まず、企業のITインフラはクラウドサービスやオンプレミス環境が共存するハイブリッド構成が一般的になってきています。その結果、管理はより複雑になっています。そのようなシステムの安定運用を支えるため、システム運用を行う担当者は常に新しい技術とツール操作の習得が必要となっています。
(2)運用業務は増えるが、対応メンバーは増えない
システムが増えると運用業務も増えます。しかし、多くの現場では運用担当のメンバーの人数はなかなか増えません。そのため限られたリソースでこれらの業務をこなさなければならず、担当者は過重労働に陥りやすくなっています。このような状況では、人為的なミスが発生するリスクも高まり、システムの安定運用を脅かすかもしれません。また業務をこなすことに時間がとられ、そのため情報や知識の共有が進まず、業務の属人化が進み、担当者が不在の場合には対応が滞るおそれもあります。
(3)必要なことは-システム運用の自動化
これらの課題を解決するために運用の効率化や自動化が求められていますが、現場の担当者は日々の業務に追われ、改善に向けた時間とリソースを確保するのが難しいというジレンマに直面しています。このような背景から、運用自動化ソリューションの導入が注目されています。
システム運用の自動化ソリューションでできることは
(1)システム通知を一括して受け付ける
システム運用を効率化するためにあげられる最初の機能は、さまざまな監視対象システムから通知されるメッセージを集中して受け付け一元管理することです。人の手で対応できる量には限界がありますが、通知を集中して受け付け、一元管理することにより、対応の優先度の高いものは何かを素早く判断し、担当者へ通知するなどのアクションを素早く行うことが可能です。自動化により運用担当者は複数の監視システムのメッセージを確認、応答する手間から解放され、また監視対象やメッセージ量が増えたとしても、同じ仕組みでの対応が可能となります。
(2)ルールに沿ってさまざまな処理を実行
次に、処理の自動実行が可能です。運用自動化システムは、あらかじめ設定されたシナリオやルールに従って、さまざまなシステム管理タスクを自動で実行します。例えば、定期的なバックアップの実施、ログの分析、リソースの最適化などのタスクですが、ルールに従って実施を判断し、シナリオに沿って実施、報告を行います。この機能により運用ミスのリスクは大幅に減少され、安定したシステムの稼働が可能となります。また一定量発生する定常業務を運用自動化システムにゆだねることにより、運用担当者はこの業務から解放され、よりクリエイティブで戦略的な業務に集中できるようになります。
このように、システム運用の自動化ソリューションは、業務の効率化とリソースの最適化を通じて、企業全体のシステム運用の質を向上させるための強力なツールとして機能します。今後の運用戦略において検討すべきこととなるでしょう。
運用の自動化を実現させるためには
(1)現在の業務の内容と量を見える化する
まず現状の業務内容とその量を正確に把握することがシステム運用の自動化の実現の第一歩となります。業務内容を洗い出し、業務量や頻度をデータとして収集することで、無駄や重複を発見し、改善の余地を見つけることが可能となります。頻繁に発生する業務は何か、対応が固定化、またはパターン化している業務は何か、そのような業務を見つけ出しましょう。その結果、どの業務とプロセスが自動化に適しているかを決定できます。
(2)業務を整理し標準化する
次に業務の標準化を進めます。標準化とは、業務プロセスを一貫性のある手順に整えることを意味します。「なぜこの場合だけこの手順なのだろうか」というものはないでしょうか。また運用担当者間で手順が違うということはないでしょうか。このような業務手順を整理し標準化することにより、安定した品質を維持することが可能になります。
(3)自動化の対象を選定、システムへ適用し効果を評価する
最後に、自動化の対象を選定し運用自動化システムへ適用した後、その効果を適切に評価することが求められます。まずよく選定される対象業務として、トラブル発生時の担当者への電話やメールでの通知があげられます。これらの業務を自動化できれば、システムの異常が検知されたら即座に担当者にアラートを送信することが可能となります。また、毎月一定数発生する定例業務も対象になります。例えば、月次報告書のデータ集計やバックアップ作業など、繰り返し行われる業務の自動化は、処理のスピードアップとミスの削減という大きな恩恵を受けることができます。
これらの業務を運用自動化システムへ適用したら終わりではありません。予測した成果がでているか、導入前後のパフォーマンス指標を比較し、具体的な改善効果を数値化することをお勧めします。これにより、投資対効果を明確にし、横展開や機能拡張など、さらなる自動化の可能性を探ることができます。
運用自動化の必要性を説明する資料

学べること
● 運用自動化をはばむ社内障壁とその突破方法
● 運用自動化を成功させるためのステップ
等
運用自動化を進めるときの注意点とその対策を説明した資料を用意しております。また運用自動化をサポートするソリューションの紹介資料もございます。
貴社の運用自動化の活動を推進するヒントにぜひこれらの資料をご活用ください。
運用自動化によって得られるメリット~お客様の事例より~
(1)緊急の対応も自動実行~例:システム障害の電話通知を自動化~
ある企業では、自動化システムを導入したことで、システム障害の際の初動対応が早まり、復旧までの時間が短縮されました。障害発生時の電話通知を自動化することで、担当者は電話応答の業務を離れて、復旧作業に専念することができました。またこの業務の自動化により、「休日や夜中に悪いニュースを連絡するという、心苦しい業務から解放され気持ちが楽になった」との声もあったようです。
(2)監視対象や量が増えても対応が可能~例:サーバー台数が増えても監視が可能~
運用自動化システムを構築し、監視対象システムの登録を手順化したことにより、サーバー台数が増加しても監視の質を維持しつつ効率的に管理できるようになりました。ITインフラの拡張にも柔軟に対応できるため、運用担当者を急に増やす必要もなく、既存の担当者だけで運用業務を実施することができました。
(3)人材の有効活用~例:毎月発生する業務を自動化しメンバーはより高度な業務を実施
定例業務を自動化することにより、繁忙期に大きく増加していた残業時間も抑えられ、時間内での対応が可能となりました。また運用担当者はより戦略的、高度な業務に集中できるようになりました。
このように、運用自動化は単なる効率化だけでなく、ビジネスの成長を支える重要な要素となっています。これらの具体的なメリットを示した事例は、導入を検討する企業にとっての参考になるでしょう。
まとめ~現状分析を実施してこそ運用自動化が実現できる~
ITシステムは日々高度化し、また複雑化していますが、これらの安定運用の実現のためには運用自動化システムが強い武器になります。
これらの導入を成功させるためには、まず現状の運用環境を正確に分析することが不可欠です。データを集めてみたら想定と違っていた、ということもあるかもしれません。実際に得られたデータを分析し、自動化が可能な部分を見つけ出し、その部分を自動化の対象としましょう。自動化システムに組み込んだ後、その結果を分析し、設定の見直しとリソースの効率的な配分を再検討しましょう。導入したら終わりではありません。効果を定期的に評価し、必要に応じて調整を行うことで、システムの持続的な安定運用が可能となります。
弊社は長年にわたるさまざまなシステム運用の実績がございます。成功の前に数々の試行錯誤を経験していますが、その経験をもとによりよいシステム運用の姿をご提案させていただきます。
運用自動化を実現するツール「Cloud Arch」の概要と特長がわかる資料

学べること
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2024年12月3日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
関連サービス
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運用自動化ソリューション「Cloud Arch」
オンプレミスシステムやプライベート / パブリッククラウドの複数サービスを利用しているシステム環境に対し、シームレスな運用自動化と統合監視の環境をご利用いただくことで複雑化するシステム運用の負担低減を実現します。
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Cloud Arch『障害アラート自動コール』試行版のご紹介
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