属人化を解消し、業務の効率化をあげる取り組み方
特定の業務が特定の人にしかわからない状態(属人化)にあることは、管理者としては悩ましいことだと思います。
属人化が起こる原因や引き起こす状況、属人化を解消し業務の効率化をあげる方法を紹介します。
属人化はなぜ起こるか
属人化が起きる背景には以下の原因が考えられます。
- 特定の人に業務が集中する専門知識を持つ人や経験が豊富な人が「その仕事なら任せて安心」と頼ってしまうため。 
- 知識や情報が共有されていない業務の手順やノウハウが文書化されておらず、本人の頭の中だけにあるため。 
- マニュアルや手順書などを作成・更新する習慣がないマニュアルや手順書を作成・更新する重要性を伝えていないことで、習慣化できていない。 
- 業務改善に取り組む時間がない日々の忙しさに追われ、業務の共有やマニュアル作成に時間を割けないため。 
- メンバーが属人化解消のメリットを感じないメンバーが業務を一任されていることを「頼られている」と感じている、属人化を解消しても評価されないと、メンバーからすれば解消してもメリットが無いと思うため。 
これらの要因が重なることで、属人化が進み、担当者以外がわからない状況となることで大きなリスクを生み出しやすくなります。
属人化が引き起こす主な状況
属人化が進むと以下のような問題が生じます。
- 業務停止のリスクが高まる特定の人がいないと仕事が進まないため、急な休暇や退職で業務がストップしてしまう。 
- 管理者の負担が増える問題が起きるたびに対応に追われ、管理者が本来すべき仕事に集中できなくなる。 
- チーム全体の効率が下がる他のメンバーが属人化している業務に関与しにくくなり、チーム全体での協力が難しくなることで、生産性が低下する。 
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掲載内容
● 「DX・業務改革」を成功させるためには
● IT戦略で実現した業務改革事例
● 「事業部門と協働し業務プロセスを再設計する」 アプローチ
属人化解消の取り組み方
業務可視化のために現状を洗い出す
まず業務プロセスを詳細に把握することで、属人化している作業や非効率な手順を発見しやすくなります。どのような業務があり、その業務にどれくらいの時間が要するか、難易度はどれくらいか、重要度はどれくらいか、必要なスキルはなにかを漏れなく洗い出していきます。洗い出しの際は担当している人だけでなく、関連している部署にヒアリングをして業務内容を明確化します。洗い出した業務はエクセルなどで一覧化します。
業務フロー図やマニュアルなど可視化したドキュメントを作成する
洗い出した業務は、業務の流れを図解化するために業務フロー図を作成します。業務フロー図は、「誰が」「いつ、何をきっかけに」「どんな場合に」「どんな作業を行う」を時系列で記載するため、業務の全体が可視化されます。
業務フロー図に沿った形で業務手順書を作成します。業務手順書は業務の進め方や作業工程を記載します。誰が対応しても同じ結果になるように、作業の具体的な流れや手順を記載していきます。
またマニュアルも作成していきます。各作業を行う際の注意点やポイントなどノウハウを記載することで誰が作業しても一定の品質を保てることを目指します。
業務フロー図やマニュアルなどのドキュメントを作成することで、誰でも同じ手順で作業を行えるようになります。これにより、担当者が変更してもスムーズに業務を引き継げる体制が整います。
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業務範囲を見直す
業務範囲を見直すことも属人化解消につながります。特定の人に業務が集中しているものがあれば、複数の人に分担することで、作業内容を共有していきます。
業務範囲を見直す際には、その業務をもっとシンプルにできないか検討します。業務工程をシンプルにすれば、専門知識が乏しくても担当できる人が増え、専門知識のある人だけが担当しなくても済むようになります。結果、マニュアル作成も容易になり、共有化が図りやすくなります。
業務のあるべき姿(To-Be)を可視化し、PDCAサイクルで業務改善をする
目指すべきTo-Beの業務プロセスを設定し、PDCAサイクルで継続的に改善を行います。計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)を繰り返すことで、属人化の解消と業務プロセスの最適化が進み、柔軟で効率的な組織運営ができます。
属人化解消を支える体制とチームの意識づけ
属人化解消を実現するには、継続的な改善と全員が協力しやすい体制が重要です。組織全体で共通の目標とルールを明確にし、業務改善のための基盤を整えることで、属人化の再発防止につながります。
さらに、日々の業務でPDCAサイクルを活用し、チームメンバーが意識して参加できる仕組みを設けることで、組織全体が属人化リスクを認識し、改善活動に貢献しやすい環境になります。
属人化防止のための教育とトレーニング
チームメンバーに属人化リスクの認識を高めるため、定期的に教育やトレーニングを行い、全員が属人化解消に向けた知識とスキルを身につけられるようにします。
ご紹介した取り組み方を自社で行いたいが、専門の知識を持った方の伴走支援を受けたい方にオージス総研の業務可視化セミナーをご案内いたします。
オージス総研では、属人化の解消につなげるための業務可視化セミナーを実施しています。
お客さま向けにセミナー内容をカスタマイズすることも可能です。
業務可視化セミナーは「考え方編」「描き方編」の2部構成となっています。
考え方編
| 項目 | 目的 | 
|---|---|
| 「業務」をどのように捉えるか | わかっているようでずれている「業務」の単位について認識を合わせる。そこから業務可視化の対象洗い出しの根底を理解する。 | 
| 「業務」を可視化するとは | 業務フローなどで業務を図示化するメリットを理解する。 | 
| 業務プロセス可視化の背景と目的 | 業務可視化が求められている背景、業務可視化を行う目的群を理解する。 | 
| 業務プロセス可視化で発見される課題 | 業務可視化を行うことで発見できる課題群を理解する。 | 
| 業務プロセスと業務フロー図との関連 | 業務の実際の流れと、業務フロー図で表現される流れの理解、業務マニュアルとの関連を理解する。 | 
| 業務フロー図の活用メリット | 「業務プロセス可視化の背景と目的」「業務プロセス可視化で発見される課題」で提示された目的、課題について業務フロー図で解決できる点やメリットを理解する。 | 
| 正確なフロー図を書くための業務の確認 | 業務フロー図を描く前提として業務をどのように捉えるかのポイントを理解する。 | 
| 正確なフローを書くための主なポイント | 業務フロー図を描く際に考えるべき点、注意すべき点を理解する。 | 
描き方編
| 項目 | 目的 | 
|---|---|
| 業務可視化の振り返り(意義、作成物など) | 「業務可視化セミナー」内容の概要説明 | 
| 業務フロー作成方法の説明(ツール操作含む) | 業務フローの作成方法説明 | 
| 演習1 | 2ページ程度の業務フローの作成実習 | 
| 【講義】作成にあたってよくある誤解や便利なコツの解説① | 演習1の結果の確認の間にノウハウ伝授 | 
| 演習1の発表・模範例の説明 | 演習1の結果の評価(講師側実施) | 
| 演習2 | 実践的業務フローの作成実習 | 
| 【講義】作成にあたってよくある誤解や便利なコツの解説② | 演習2の結果の確認の間にノウハウ伝授 | 
| 演習2の発表と評価 | 演習2の結果の発表(受講者側実施) | 
業務可視化セミナーを通して、業務可視化を行う目的や発見できる課題を理解いただけます。また「描き方編」では業務フローの作成を通して可視化していく手順を学ぶことができます。
業務可視化セミナーに関するお問い合わせ
業務フローの作成方法をツール操作からご説明することが可能です。作成するための便利なコツを解説いたします。
「オージス総研の戦略コンサルティング」資料ダウンロード

掲載内容
● 「DX・業務改革」を成功させるためには
● IT戦略で実現した業務改革事例
● 「事業部門と協働し業務プロセスを再設計する」 アプローチ
2025年1月15日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
関連サービス
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           業務プロセス可視化サービス 業務プロセス可視化サービス「業務プロセス可視化」は、業務改善や効率化の検討時だけでなく、災害時等の万一の場合の事業継続、新任担当者へのスムーズな業務移管にも必要です。 また、「働き方改革」「テレワーク」を見据えた業務変革にも有効です。 
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           業務可視化(業務フロー)をベースにした業務改善コンサルティング 業務可視化(業務フロー)をベースにした業務改善コンサルティング企業全体をとらえたトップダウン型の分析に対し、「業務の可視化をベースにした業務改善コンサルティング」は、実際に業務を行う部門をターゲットにしたボトムアップ型のサービスです 
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