ERP導入における”Fit to Standard”アプローチ、その成功の秘訣とは
最近よく耳にするようになりました「Fit to Standard」というアプローチ。システム導入の際の打ち手の一つとして、ご検討・ご活用されている方もいらっしゃるとお聞きします。
注目を集める一方で、「Fit to Standardは難しい」、「リスクもある」といったご意見もお聞きします。
弊社では、成功の秘訣は、大きく以下の2点と整理しております。
(1)適したERPパッケージの導入
Fit to Standardのアプローチに適したERPとは、大まかには、「他システムとの柔軟な連携が可能」、「ノーコード・ローコード」、この2つの機能が装備されているものとなります。
これにより、システム全体の統合性を確保しつつ、業務プロセスの変化に柔軟に対応できます。
(2)現場実態の理解
(1)と併せて重要なのは、経営・現場・IT担当の三者が一体となり、導入方針の意識合わせをすることです。
そのためには、現場の業務実態を詳細に把握し、現場の声をしっかりと反映した導入計画を立てることが必要です。
具体的には、業務プロセスの現状分析や課題の洗い出しを行い、それをもとに標準機能で賄える部分とカスタマイズが必要な部分を区別します。
本コラムでは、Fit to StandardアプローチによるERP導入について整理し、成功に向けた具体的な手段をご紹介いたします。
1.「Fit & Gap」と「Fit to Standard」の違い
まず、「Fit & Gap」と「Fit to Standard」 、この2つのアプローチについて整理いたします。
(1)Fit & Gapとは
- 企業の業務プロセスと導入するERPシステムの標準機能との間にどの程度の差異があるかを分析し、その差異を埋めるためにカスタマイズやプロセスの変更を行うアプローチ・企業固有のニーズに合わせてシステムを調整することが可能、業務効率を最大化
- カスタマイズが多い場合、導入コストが増加し、システムのメンテナンスやアップグレードが複雑になる可能性あり
(2)Fit to Standardとは
- ERPシステムの標準機能に業務プロセスを合わせるアプローチ
- 標準機能を最大限に活用することで、導入コストを削減し、システムの安定性と長期的なメンテナンス性を向上
- 業務プロセスを標準に合わせるため、社内のプロセス変更が必要となり、現場の抵抗を招く可能性あり
(1)(2)から、経営視点・情報化視点では「Fit to Standard」が良く、現場視点では、「Fit & Gap」が良いと言われています。どちらのアプローチを選択するかは、企業の戦略、業務の特性、そして組織文化に依存します。
Fit to Standardを選択する場合には、経営層からの強力な支援と、現場の理解を得るための適切なコミュニケーションが不可欠です。
また、Fit & Gapを選択する場合には、カスタマイズの範囲を慎重に見極め、システムの複雑さを最小限に抑える工夫が求められます。いずれのアプローチも、企業のビジョンと一致した形で進めることが重要となります。
2.「Fit to Standard」アプローチの特徴
(1)システムの運用やムダな処理を減らし、会社として注力する事業や新しい事業等にリソースを割ける
会計、経費精算、資産管理、給与計算、など、どの企業も同じ法規制を受ける領域、つまり非競争領域(協調領域)の業務やシステムをスマート化することで、導入や運用のコストを削減し、システムの維持管理をシンプルにするため、総合的なITコストの削減にもつながります。
これにより、企業は競争力を高めるために重要な領域、つまり競争領域にリソースを集中させることが可能となります。
(2)外部環境の変化に柔軟に対応できる
組織のアジリティを向上させることができます。標準化されたプロセスの導入により、迅速なプロセス改善や新しいビジネスニーズへの対応が容易になり、企業は市場の変化に対して迅速かつ効率的に反応できるようになります。
(3)最新の技術や新機能を享受できる
標準化されたシステムは、ベンダーからのアップデートや新しい機能の追加が容易であり、常に最新の技術を活用することができます。これにより、デジタルトランスフォーメーションを促進し、競争力を維持するための新しいツールや技術を迅速に取り入れることが可能です。
(4)サーバーやパッケージのEOL(End of Life)時、バージョンアップで対応でき、リソースもコストも抑制できる
標準に準拠したシステムは、ベンダーによるサポートが充実しているため、EOLやトラブル発生時の対応も迅速かつ効果的です。これにより、システムの安定性が向上し、業務の継続性が確保されるため、企業の信頼性を高めることができます。
3.Fit to Standardが難しいと言われている理由
Fit & Gapは従来の業務を大きく変えることなく、業務に合わせたシステムを導入するため現場が受け入れやすいというメリットがあります。
一方、Fit to Standardは業務をERPパッケージに合わせるため、現場の拒絶反応が起こりやすく、従業員のモチベーションや業務効率に影響を与える可能性があります。従業員が新しい業務フローに十分に適応できない場合、短期的には生産性の低下やエラーの増加が発生することがあります。
このように、経営層やIT部門が主導してFit to Standardを推し進めても、導入時や運用時に現場の抵抗や生産性低下を招く可能性があるのです。
そのため、冒頭でお伝えしました「適したERPパッケージの導入」、「現場実態の理解」、この2点が成功のポイントとなります。
4.適したERPパッケージの導入 GRANDITのご紹介
(1)「他システムとの柔軟な連携が可能」、「ノーコード・ローコード」この2つの機能を装備
特に、ノーコード・ローコードの機能は、IT部門に依存せずに業務部門が自らプロセスの改善や新しいアプリケーションの開発を行える環境を提供します。これにより、現場の担当者が自分たちの業務に最適なソリューションを迅速に構築し、運用することが可能となります。
(2)国産ERPのため、国内企業の業務にFitさせやすい
GRANDITは日本国内のビジネス環境に特化して設計されており、日本企業特有の業務プロセスや法令、会計基準に対応しています。これにより、国際的なERPパッケージに比べてカスタマイズの必要性が低く、導入後の運用もスムーズに行えます。もちろん、多言語・多通貨対応が可能であり、グローバル展開を目指す企業にとっても有用です。
(3)コンソーシアム型の開発で、継続的にバージョンアップを行っている
GRANDITは、ユーザーコミュニティからのフィードバックを積極的に取り入れ、実用的な改善を重ねています。これにより、企業は市場の変化に迅速に対応でき、競争力を維持し続けることが可能です。
GRANDITは企業の多様なニーズに応えるERPパッケージとして、業務効率の向上とコスト削減を実現します。
「Fit to Standard」に適したERP「GRANDIT」の資料をご用意しております

1.顧客視点でユーザビリティを追及した完全Web-ERP
2.多彩な業務ノウハウを集大成させた究極のコンソーシアム方式
3.基幹業務を超えてすべてを統合した真のオールインワン
4.幅広い企業規模や業種に対応するすぐれたスケーラビリティ
5.現場実態の理解 行動観察のご紹介
(1)現場の事実を起点に、潜在的なニーズ・課題を抽出する仮説生成の手法
行動観察は、現場の業務プロセスを詳細に理解し、ERPの「Fit to Standard」アプローチを効果的に進めるための重要な手法です。
まず、行動観察では、業務が実際にどのように行われているかを直接観察します。これにより、業務フローの中での非効率や、現場での創意工夫が明らかになります。
次に、インタビューを通じて、従業員の視点や実際に感じている問題点、改善したいポイントを深掘りします。
これらの手法を組み合わせることで、現場の実態をより正確に把握し、業務の様子や、部門間のやりとり等を把握し、業務課題のあたりをつけることが可能になります。
上記により、業務とシステムについての会社としての「ありたい姿(コンセプト)」を描き、合意形成を図りやすくなります。
(2)事実ベースで各部門間の課題を共有、統合しながら、アクションを起こす「共創プロセス」を行う
現場の実態および業務課題をもとに、経営層がステークホルダーを巻き込みDXやERP導入に向けた意識合わせを行い、会社としてありたい姿を共に考える場を提供します。
また、このプロセスは単なる情報の共有にとどまらず、業務改善のための具体的なアクションプランを策定する契機ともなります。現場の声を反映した実行可能なプランを作成することで、従業員のモチベーションを高め、ERP導入に対する抵抗感を軽減することができます。
この「共創プロセス」を通じて、現場からのフィードバックを積極的に取り入れ、ERPシステムの最適化を図ります。
このように、「行動観察・インタビュー」と「共創プロセス」を組み合わせることで、ERPの「Fit to Standard」アプローチは、単なるシステム導入にとどまらず、組織全体の業務改革を支える基盤となります。
現場の事実を起点に、潜在的なニーズ・課題を抽出する「行動観察」とは

・行動観察とは
・行動観察の支援領域
・ご支援の体制・プロセス
最後までご覧いただきありがとうございました。 Fit to StandardアプローチによるERP導入について整理し、成功に向けた具体的な手段をご紹介いたしました。ご不明点などございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご質問頂戴できれば幸いです。
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