インフルエンサーマーケティングの企画に必要なペルソナの作り方
インフルエンサーマーケティング市場は、2025年には995億円、2029年には1,645億円と予想され1)、生活者リクルーティングの既存市場であったマーケティング・リサーチ市場(従来型のリサーチ事業で2,269億円)に迫る市場規模に成長しています2)。SNSメディアが、企業から生活者への情報伝達媒体として注目を浴びている今、インフルエンサーは商品PRや商品企画、試供品テストにも起用され、企業のマーケティングにおいて欠かせない存在となっています。
企業側は、自社の商品・サービスの訴求をインフルエンサーと一緒に進めて行くために、インフルエンサーとのブランディング面でのマッチングや、インフルエンサーの自発的なPRへと繋がる様、企画段階より、コミュニケーションプランニングを行っていく必要性があります。
本コラムでは、インフルエンサーの行動を深く分析し、魅力を明らかにすることで、企業側のマーケティング推進に必要なブランディング面でのマッチングや、PRプランニングのお役に立てる手法として、ペルソナを用いた企画手法をご紹介します。
インフルエンサーの魅力を発見する
インフルエンサーとは言葉通り、生活者に影響を与える存在である場合、インフルエンサーの行動は生活者に対して、どの様な価値提供に繋がっているのか、魅力を明らかにすることで、ブランディング面でのマッチングや、PRプランニングの参考にすることができます。
インフルエンサーのペルソナをつくってみる
魅力を発見するためには、具体的な人物像の設定が必要です。ペルソナとは仮想で設定した人物像を指します。年齢・性別・趣味・価値観・お金の使い方に至るまで設定を行うことで、具体的な人物像をイメージし、理解を深めます。ペルソナには、デモグラフィック(年齢・性別・職業などの統計的な情報)と、サイコグラフィック(価値観、興味などの心理面の情報)を加えることで、人物の解像度を上げます。
仮想で用いるペルソナの設定は、実在の人物に近しい設定であればある程、企画やアイデアのための分析精度が高まります。
インフルエンサーの行動・心理の実態をリサーチする
ペルソナを設定する上で、デモグラフィックデータとは異なり、サイコグラフィックデータは、データの収集や記述が困難です。ペルソナのサイコグラフィックデータである、価値観や興味といったデータは対象人物の行動結果と心理の両面をリサーチすることで得られます。
代表的な、行動データの把握手法としては、フォト調査・SNS分析があります。心理を聞く手法としてはインタビュー・アンケートといったリサーチ手法があります。
しかしながら、上記手法ではデメリットもあります。フォト調査・SNS分析では、実際のSNS投稿の現場に居合わせていないことから、実際の心理が把握できない点があげられます。また、インタビュー・アンケートについては行動結果の正確さに欠けるといった点があげられます。ペルソナを設定するため、より本音に近い価値観を見つけるには、行動と心理の双方の面で把握ができるエスノグラフィ調査を用いることで不足な情報を補います。
エスノグラフィ調査とは、実際にリサーチ対象者の生活圏に溶け込み、言語・非言語情報からなる心理や行動データを記述することで、対象者の生活実態や価値観を明らかにするためのリサーチ手法です。元々は特定の集団やコミュニティの文化や価値観を明らかにするリサーチ手法として文化人類学の分野で用いられてきました。
エスノグラフィ調査で得られるデータを基に、ペルソナを設定する場合、実在の対象者を調査し、通常4~8名を対象にします。こちらはUXリサーチで知られるJakob Nielsen氏の被験者人数を参考としています。そのため、最低でも4名以上のインフルエンサーに協力をお願いする必要があります。
エスノグラフィ調査については詳しくは下記をご覧ください。
https://www.ogis-ri.co.jp/pickup/kr/ethnography.html

インフルエンサーのペルソナを基に企画アイデアを練る
インフルエンサーの深い理解に基づくペルソナが作成されると、企画アイデアを練る上での、気持ちや行動の仮説の精度が上がります。以下の業務において役に立ちます。
インフルエンサーとのマッチングでは、自社商品・サービスをインフルエンサーへ依頼するための訴求ポイント設計や、自社に適した依頼かを含め検討するブランディングの参考となります。
また、商品PRの企画においても、インフルエンサーの価値観や気持ちを把握しておくことで、より自然かつ、自発的なPRのためのコミュニケーションプランを練ることに役立ちます。
以下に、エスノグラフィを始めとしたマーケティングにご利用いただけるユーザー実態把握のための調査手法の資料をご用意しております。
マーケティング活動支援
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リサーチ手法をご紹介しております。
● ユーザーを深く知るための行動観察
● 事例資料「美容・健康メーカー様」
● 事例資料「住宅不動産 企業様」
1)出典: サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000013256.html(外部リンク)
2)出典: 一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会 第49回経営業務実態調査(2024/6/27)
2024年12月24日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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