メインフレーム運用業務の自動化で業務効率を最大化する方法

企業のITサービスのインフラにクラウドサービスを活用する場面は多くなってきていますが、メインフレームを活用している場面はまだまだ多く一部の業務では欠かせないインフラとなっています。
このコラムではメインフレームを効率よく運用する方法についてご紹介していきます。

メインフレームが必要とされる理由と活用場面

 メインフレームとは基幹システムなどに用いられる大型コンピューターシステムを指します。さまざまな業務に利用可能なため「大型汎用機」と呼ばれるこのコンピューターは膨大な数のトランザクションをリアルタイムで処理する高い処理能力、そして冗長化技術が用いられた高い信頼性を持ち、今でも多くの企業の活動を支える基幹システムにて利用されています。

 例えば銀行や保険などの金融機関では毎日膨大な金融取引処理が発生するため、高い処理能力を持つメインフレームが利用されています。製造業ではリアルタイムのデータ処理が必要とされる製造プロセスの管理や在庫管理などで、また政府機関や自治体では高いセキュリティでの運用が要求される予算、徴税、公共サービスなどの業務においてメインフレームが利用されています。

メインフレームの運用を脅かす3つの問題

 メインフレームの性能を最大限に活かすには「オペレーター」と呼ばれる操作員による運用が必要となります。通常の業務はもちろんのこと臨時業務の指示、通信やアクセス権などの各種設定変更にはオペレーターによる設定作業が必要となります。これらの作業はあらかじめ制定された手順書に基づき、入念なチェックのもと実施されます。
 厳格な手順とチェックによって運用されるメインフレームですが、稼働するシステムの増加、他ITサービスとの連携の拡大、24時間365日のサービス提供が当たり前となった現在においては、運用を継続していく上でさまざまな問題が出てきています。

 1つは技術者の不足という問題です。
 ITシステム運用の業務でも少子高齢化の影響は大きく、少ない若い世代のIT技術者はクラウドや他の新しい技術にシフトしており、メインフレームを運用・保守するための専門知識を持つ技術者の育成数も減少しています。
 2つ目は繁忙期におけるオペレーター増員の難しさがあげられます。四半期の会計の締めや決算の時期では特別な処理の実行が、また社内の人事異動の時期では、アプリケーションやデータへのアクセス権限の変更やアカウントの追加などの処理が必要となるためオペレーターによる設定作業も増大します。しかしその業務量に合わせてメインフレームのオペレーターを臨時に雇うことは難しく、今いる要員で対応せざるを得ない現状となっています。
 これらの問題から誘発される3つ目の問題は人為的なミスの増加という事象です。多くの運用現場では設定書や作業依頼書に基づき入念なチェックの上で処理を行いますが、依頼の順番間違い、設定書の記入間違いなどによりミスは発生してしまうことがあります。繁忙期の場合はなおさらミス発生のリスクが高まります。

「自動化」という解決策

 高性能・高信頼性を誇るメインフレームを効率的に安定的に運用するためには「人ありき」の考え方ではなく、「機械にまかせる」という大きな転換が必要ではと感じております。コンピューターの操作を自動化するRPAツールはWindowsパソコンやWebブラウザを対象としたものが多くありますが、最近ではメインフレームもコンソール画面に対してコマンドの投入や結果を検証する機能を持ったツールも登場しています。このメインフレーム操作の自動化の仕組みを使って、手順にそって処理を実施させ、人は人でしかできない業務に集中する、という役割分担が必要と感じています。

 例えば「臨時ジョブを投入する」という運用ではオペレーターは以下の作業を行います。

・依頼書の受付・チェック
・適切な手順書を用いて設定・変更
・別のオペレーターにてダブルチェック
・処理の実施
・結果を取得し依頼者へ報告

 「ジョブを投入する」という1つの目的のためにもオペレーターは多くの作業を確認しながら実施する必要があります。繁忙期ともなるとこの作業も大きく増えますが、手順に基づいて作業をこなす自動化ツールは疲れ知らずで処理を行ってくれます。作業手順を明確にし、自動化ツールに作業を実施させれば、ミスの削減だけでなく処理実行までの時間も短縮できると考えられます。

手順のある業務は機械で、創造的な業務は人間で

 メインフレームの運用手順は先人たちの知恵のつまった「枯れた」ものとなっています。
 これを誰もが理解できるように可視化し、その手順を自動化システムに設定すれば、多くの業務を人の手から手放すことができると考えられます。例えば以下の業務は手順が決まっているため自動化できると考えられます。

(例)
-テスト環境にテストジョブを登録し、結果を通知する
-指示書に基づいてシステムの臨時本番ジョブのスケジュールを登録する
-販売店支援システムの担当者の依頼書に基づき、本番プログラムの緊急変更を行う
-新規代理店の設置に伴い設定表に基づき、通信定義の設定を追加・変更する
-社員異動通知に基づき、対象ユーザーにデータアクセスの権限を付与する

 運用の自動化により設定から実施までのリードタイムの短縮、ヒューマンエラーの削減が可能となり、システム利用者へのサービスレベルが向上します。
 そして今までこれらの業務に携わっていたオペレーターの方は、より高度かつ創造的な業務に集中できるようになるでしょう。

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2025年3月6日公開

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