ビジネスにおける行動変容のためのアプローチ
2021.06 行動観察リフレーム本部メンバー
背景
新型コロナウイルスに関する各種報道の中で、行動変容という言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。行動変容という言葉は新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言の中で利用され、新しい生活様式などとともに広く知られることとなりました。元々は医療や広告などの業界で使われてきましたが、現在ではニューノーマル時代に向けたビジネスモデル変革や組織改革をはじめ、ビジネスの文脈においても用いられることが増えつつあります。
行動変容とは
本来は行動変容ステージモデルとして、医療領域で禁煙や糖尿病の治療、肥満抑制等の生活習慣改善に向けた段階を示し、対象者への適切な介入を図るために用いられてきました。厚生労働省が運営している生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、行動変容ステージモデルを下記のように紹介しています。
行動変容ステージモデルでは、人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。行動変容のステージをひとつでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になります。
(出典)e-ヘルスネット(厚生労働省)「行動変容ステージモデル」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html(外部リンク)
「何とかしたい」という課題に対し、人が行動を変え解決するまでのステージを対象者の感情に着目して分類しています。それぞれのステージで打ち手のポイントは異なりますが、共通しているのはその人に合わせるということです。
行動変容のステージを一つでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になります。
(出典)e-ヘルスネット(厚生労働省)「行動変容ステージモデル」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html(外部リンク)
提唱されているフレームワークに当てはめるのではなく、深い対象者理解をもとに一人一人に合わせた支援が必要です。
ビジネスにおける行動変容の潮流
昨今、どの企業も従業員へ行動変容、組織変容を促すことで企業文化を改革し、競争優位性のあるビジネスモデルへの変革を目指しています。
デジタルトランスフォーメーションの潮流もあり、我々にも「新たな施策で従業員の行動変容を促したい」というご相談が増えています。特に、下記のような課題を抱えたご相談が増えていますが、みなさんはいかがでしょうか。
いずれの場合でも、従業員の心理的な傾向や過去の経験など、数字や報告書に現れない文脈情報を収集できておらず、適切な施策に落とし込めていないことが要因です。
オージス総研での行動変容支援
オージス総研行動観察リフレーム本部では、行動観察のパイオニアとして15年以上にわたり1,500件以上のプロジェクトを実施してきました。あるべき姿を伺った上で、現場の実態や文脈、本質的課題を行動観察により明らかにし、従業員の行動変容、それによる組織変容を支援します。
<行動変容・組織変容プロジェクトフロー例>
行動変容の手法
オージス総研では、行動観察やエスノグラフィなど各種手法を中心に、前後の文脈を含む詳細な行動データや言葉にならないノウハウなどの現場実態を明らかにし、本質的な課題やインサイトを抽出した上で、行動変容を促すソリューションを提案します。
深く対象者を理解することで、近年注目されているナッジのような行動をそっと促す仕掛け作りから、ブーストというさらに踏みこんだ介入で主体的な意思決定を促す施策を実施、組織変容を進めることが可能です。
新たな戦略の現場実装に課題を感じている経営者の方、現場と経営の間で奔走している方、現場で本質的課題や文脈を明らかにしたい方など、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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