成功する商品開発のプロセスとは?6ステップで解説

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顧客が求める商品開発とは

市場にモノがあふれている現代では、独自性があり、かつ顧客ニーズを深く汲み取った商品でなければ、顧客の目に留まるのが難しくなっています。とはいえ、顧客に選んでもらえる商品を開発しようと思っても、何から着手すれば良いのか分からず考え込んでしまう方も多いのではないでしょうか。
商品開発とは、顧客が抱く課題の解決を、商品を通じて支援するための活動で、企画する際は顧客の実態をもとに世の中の情勢・業界の動向をきちんと分析することで、自社の顧客層に選ばれる商品になります。

商品開発で陥りがちな3つの失敗

商品開発において、陥りがちな失敗のポイントとして以下の3つが挙げられます。
1. 顧客理解の軽視
2. 調査対象のズレ
3. アイデアの検討不足

1. 顧客理解の軽視

顧客理解の軽視は、優れた商品開発力を持つ会社に見られがちです。
これまでに商品が売れた背景は、商品力だけではなくその時々の顧客のニーズがあり、そのニーズに商品がはまっていた、という経緯があったのではないでしょうか。現代ではニーズの多様化が進んでいるため、今その時の顧客を理解することなく「これまでうちの顧客はこうだった」「いかに自社の技術を有効活用するか」という視点で進めていると、ヒット商品を開発するのは難しいと言えます。

2. 調査対象のズレ

本来調査すべき対象者と実際の対象者とでズレがあると、せっかくニーズを拾えたとしても当初描いていた顧客層とは違うニーズやインサイトを導き出すことになります。その結果、想定顧客とずれたアイデア、ずれた商品ができ上がり、本来提供すべきニーズの商品を届けることができなくなる、という懸念があります。
「何を知れば良いのか」「それは誰を調査したら発見できそうか」をしっかりと検討しておく必要があります。

3. アイデアの検討不足

ファクトをもとにせず想像のみでいきなりアイデアを考えると、顧客の実態に沿わず、ニーズやインサイトを捉えたアイデアになりません。また、アイデア出しを始めてしばらくの時間は既存の考え方や機能追加的な発想になりがちで、いつも考えているようなアイデア(調査しなくても分かっていたこと)になる傾向があります。
アイデア検討をしっかり行うためには、調査で得たファクトをもとにすること、どんなに小さくてもとにかく大量に出すことが重要です。

これらの陥りやすいポイントを回避しながら商品開発を進めていくためには、以下の流れを意識しながら進めるのが良いでしょう。

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失敗を回避する商品開発の流れ 6つのステップ

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1. 顧客の実態理解

まずは想定顧客の実態理解に努めましょう。
「どのような人が」「どのような課題を抱えていて」「どういう経緯で」自社商品を選択し、「普段どのように使っているのか」というファクトをできるだけ多く集めます。思いつきで顧客実態に関係のない商品やサービスを作ってしまうと、それまでのリソースが無駄になってしまう上、サンクコスト効果で後戻りできなくなることもあります。
良いアイデアは良いファクト集めから既に始まっています。事実が分かれば、「こういうことに困っている(本当はこうしたい)」というニーズやインサイトを考えるヒントになります。

2. ニーズ・インサイトの導出

ファクトをもとに、顧客が「本当は何に困っているのか」「本当はどうしたいと思っているのか」を導き出します。普段の会議や打ち合わせとは雰囲気を変え、自由に発言できる場を設けるのが良いでしょう。
ファクトごとにどのような背景があるのかを考え、それぞれに共通して見られる背景要因を統合していきます。唯一の正解はないものですが、参加している人たちが腹落ちすることが重要なポイントです。

3. コンセプトの決定

商品について考えるのはまだ先です。その前に、ニーズやインサイトを満たすコンセプトアイデアを検討しましょう。とにかくアイデアを数多く出すことがポイントです。
その際、「ニーズ志向」と「シーズ志向」という2つの視点で考えることをおすすめします。
ニーズ志向とは、消費者のニーズから商品を作り、優位性をアピールして売り出すスタイルのことです。
シーズ志向とは、企業が自社の技術やアイデアをもとに、新商品やサービスを生み出し、売り出すスタイルのことです。

ファクト集め~ニーズ・インサイトの導出までは「顧客がどうしているか」にフォーカスしますが、商品作りを考えるタイミングでは自社の在り方や理念、活用可能なリソースなどの視点も踏まえていきましょう。そうでなければ「良いコンセプトだけど、それを自社がやる理由は?」という問いに自分たちも答えられなくなってしまいます。

ある程度コンセプトアイデアが出尽くしたら、ニーズとシーズ双方の視点をもとにスクリーニングをしていきます。
スクリーニングをする際は、雑であっても形あるものを作り、想定する顧客の意見を聞きながら再度形作るという過程を繰り返し行う、といった流れで検証するのが望ましいです。この段階では、いわゆるダーティプロトタイプとよばれるものを利用します。

4. 要求定義

ここまで、
・誰の
・どのような課題を
・どのような方向性で
解決するのかを考えてきました。次に考えるのは解決策としての商品に「顧客が何を求めるのか」です。
このあたりのステップで開発や製造を行う部門とのやり取りが増えていきます。その際、これまでの活動をまとめた資料を開発部門へ渡して終わりにするのではなく、担当者が自らこれまでの経緯や顧客の実態、なぜこのようなコンセプトになったのかをしっかりと説明しましょう。

社内で過去、同じような開発を実施していたケースもあるでしょう。その時うまくいったこと・うまくいかなかったこと、その理由は把握し反映させましょう。
このあたりから開発やローンチを見越す必要があります。市場性や競合商品の状況なども調べておくと良いでしょう。

5. 要件定義

要求定義で出した商品の概要を、具体的な商品の機能要件・開発要件に落とし込むのが要件定義のステップです。
「どのように作るか」を考えるもので、開発部門が主体となることが多いステップです。
とはいえ、技術的な話だからと開発部門に丸投げするのではなく、これまでのプロセスをしっかりと共有し、「誰の」「何を」「どのような方向性で」解決するための「解決策」なのかからずれないように注意しましょう。

6. 開発

要件定義された内容をもとに、具体的な開発に進みます。
工場などの自社製造部門を頼る、外部の企業に委託するなど方法はさまざまですが、予算や人員などのリソースを踏まえ、適切と思えるものを選択しましょう。
要件定義のステップと同様、委託であっても丸投げするのではなく、過去の経緯や大切にしていることを丁寧に伝え、理解してもらった上で進めてもらいましょう。

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顧客実態を起点にした商品開発のために

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商品開発を成功させるには、顧客が実際にどうしているかというファクトが最重要です。
しかし、自社の商品のエンドユーザーと直接コミュニケーションを取ったことがない、という人は実は少なくありません。
商品開発を成功させるためにはいくつかの超えるべきハードルがあります。
・どのような人にどのような調査を行えば良いか
・集めたファクトからどのようにニーズやインサイトを導き出すか
・ニーズやインサイトからコンセプト、要求定義に結び付ければ良いか
・市場性はどのように確認すれば良いか
これらを理解するには顧客の実態把握のノウハウが必要です。

オージス総研では、長年のマーケティングリサーチの経験と国内の行動観察のパイオニアとして、数多くの生活者起点のファクトの収集、インサイトの導出、新規事業の開発を支援してきました。商品開発についてお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

2023年9月27日公開
※この記事に掲載されている内容、および製品仕様、所属情報(会社名・部署名)は公開当時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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