業務可視化を成功させノウハウや技術の伝承を実現する重要なポイント

業務可視化は生産性向上の第一歩

人口減少が続く日本で事業を継続させるには、生産性向上は喫緊の課題です。
生産性を向上させるためには業務の可視化を行い、どこにボトルネックがあるかを見つけ、解消する打ち手を検討する必要があります。

「うちはマニュアルや手順書を整備しているから問題ない」というお話を聞くこともありますが、実際に我々がお客様からご相談いただくケースでは
・マニュアルが何年も更新されていない
・マニュアルはあるが抜け漏れが多く参考にならない
・マニュアルの記載内容が多く、都度参照するとかえって生産性を下げる
・文章ばかりで新人には理解に時間がかかる
ということをしばしばお聞きします。
マニュアル作成については本記事では解説しませんが、良いマニュアルを作るにも業務の可視化は必要です。

業務可視化、つまりは「どのように業務が行われているのかを明らかにする」ことが生産性向上の第一歩となります。

業務の可視化とは2種類ある

業務可視化と一口に言ってもその内容を考えると大きく2種類あり、可視化する業務の『広さ』と『深さ』で考えることができます。『広さ』は網羅的に業務全体を押さえ、『深さ』では特定のノウハウを抽出するようなイメージです。

『広さ』の業務可視化

業務の可視化とは一般的に「いつ」「誰が」「何を」「どのように」業務を実施しているかを把握することを指します。このような要素が明らかになると、業務の全体把握や、業務改善、品質の維持などに寄与できます。
可視化の方法は、担当者や管理者へのヒアリングを行い、業務システムなどを見ながらある領域に対して網羅的に行うことが一般的です。重要なことは「漏れなくダブりなく」行い全体を把握することです。
網羅性を高く可視化することで改善の余地を検討できます。また、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」するか明確になるため、業務のムリ・ムダ・ムラ削減や品質の維持に繋がります。

『深さ』の業務可視化

一方『広さ』を求めて全体を明らかにする可視化とは異なり、一部の人にしか見えていなかったものを明らかにする業務可視化もあります。
例えば、ある業務の優秀人材やベテラン人材が「何を考え」「どのように実現しているか」を明らかにすることで、ノウハウや暗黙知を明らかにするというものです。
ノウハウや暗黙知を明らかにし周知することで、全体としての業務レベルの底上げや「その人がいなくなるとできない業務」を無くすことに繋がります。

業務可視化が必要な理由

業務の可視化が必要な理由も、可視化する業務の『広さ』と『深さ』で考えることが大切です。それぞれを見ていきましょう。

『広さ』の業務可視化がいま必要な理由

1点目は業務全体で「いつ」「誰が」「何を」「どのように」するかを明記することで、誰でも同じように業務ができるようにすることです。
可視化されていない場合、組織の中で業務に詳しい人を探す必要がある、マニュアルを探す時間がかかる、基準がないことで人によってアウトプットにバラつきが出る、などの弊害が生まれます。『広さ』の業務可視化によって実現するのは、全体的な見地から最適解を求め"マイナスをゼロにする"生産性向上です。
最近では副業人材やフリーランス人材、外部のプロフェッショナル人材を活用したチームで仕事に取り組むケースも増えています。支援してもらう人材の要件を定義するにあたり「どの業務を」「どのレベル感の人に」依頼するかを判断するためにも『広さ』の業務可視化は必要です。

『深さ』の業務可視化がいま必要な理由

2点目は特定の人だけが持つ優れたノウハウや暗黙知を共有することで、業務の手数や時間の減少、アウトプットの質の向上が見込めるというものです。
このノウハウや暗黙知が可視化されていないと、その人が体調不良になったり、異動や退職になったりすると業務そのものが滞ってしまうリスクがあります。『深さ』の業務可視化によって実現するのは、いわば"ゼロをプラスにする"生産性向上です。
昨今の少子高齢化や雇用の流動化によって、一部の人材が保有する暗黙知が企業から失われる可能性も高まっていますが、失われる技術・ノウハウ次第では企業の競争力や組織の生産性への影響は計り知れないものとなります。人が関わる業務はしばしば属人化、暗黙知化するものですが、その弊害を未然に防ぐためにも『深さ』の業務可視化を行い、技術継承を進めていきましょう。

AIを含むデジタルツールが広く普及している昨今では、デジタルに業務を合わせるにあたって何をどのようにすべきか考える必要があり、その際は『広さ』『深さ』双方が求められます。

このように、業務可視化が求められる理由はさまざまなものがありますが、実現しようとすると簡単ではありません。同時に、『広さ』と『深さ』でうまくいかない要因はそれぞれ異なるので、検討する際は『広さ』と『深さ』で切り分けて考えることが必要ですが、これもまた簡単ではありません。

業務可視化がうまくいかない要因

『広さ』の業務可視化がうまくいかない要因

『広さ』の業務可視化がうまくいかない要因は主に4点です。
・どこからどこまでを対象業務とするかの設定が難しい。
・どのような粒度でどのレベルまで可視化するのかの設定が難しい。
・取り揃えた資料に漏れがなくダブりがないかを検証する作業が発生する。
・集めた資料や情報をわかりやすく整理するスキルが求められる。
といった点で躓いてしまいます。

『深さ』の業務可視化がうまくいかない要因

一方、『深さ』の業務可視化がうまくいくかどうかを左右する要因は主に3点です。

1点目は誰が実施するかです。一見、ノウハウを聞いて言葉にするだけなので簡単なようにも感じますが、業務内容を知っている者同士では「なんとなく」理解できてしまいます。
そのため、本来であれば明文化すべき対象を「当たり前のもの」としてしまい、結果として参考にしてもアクションに繋がらないマインド集のようなものができ上がってしまいます。そのため「業務に一定の理解がある第三者」という難しい立ち位置の人が担当する必要がありますが、そうそういないのが実態です。

2点目は引き出して言語化するスキルの有無です。多くの場合、優秀人材は自身の技術やコツを感覚的に身体に馴染ませています。そのため、単にヒアリングしても「いつもこうやっている」以上の答えは出てきません。例えばみなさんも、自転車の乗り方を聞かれても言葉で説明するのは難しいのではないでしょうか。優秀人材が感覚的に行っていることをうまく引き出した上で、それを適切な表現で説明するスキルが求められます。

3点目は体系化のスキルの有無です。優秀人材から引き出した知見はただ羅列するのではなく、一定の規則をもとにまとめていく必要があります。具体的には、関連する要素で分類し、必要な要素を取捨選択し、階層化させたり時系列で並べたりする作業です。他の人が見た時に「なるほど」と一見して理解できるようにまとめなければなりませんが、これは容易にできないものです。

これらを実施手順をもとにまとめると、
1.ヒアリングは客観的な立場の人が担当し
2.対象者から技術やコツをうまく引き出して言葉をあてはめ
3.全体として整理し体系化する
です。このように実際にはいくつものスキルが求められます。

業務可視化のためのポイント

『広さ』の業務可視化のためのポイント

『広さ』の業務可視化のためには、フロー図化や文章化といった見える化をすることが大切です。
オージス総研では『広さ』の業務可視化のためのサービスを展開しております。詳細は下記をご覧ください。
業務プロセス可視化サービス

『深さ』の業務可視化のためのポイント

前述したスキルに加え、『深さ』の業務可視化のためには線引きするスキルが重要です。ノウハウ抽出ではノウハウの定義をはっきりさせる必要があります。何をもってノウハウとし、どこからどこまでのどういった粒度の行動をノウハウとするのかを決めなければなりません。
きちんと抽出できた後も、誰が見ても同じように行動できるように明文化する必要があります。抽出したノウハウが理解しやすく実践できるようになっているかは、実際にそのノウハウを実践してもらう現場の人に必ず確認してもらいましょう。
オージス総研では、行動観察のパイオニアとしてさまざまな領域でノウハウ抽出や暗黙知の可視化を支援してきました。詳細は下記をご覧ください。
行動観察を用いた業務改善支援

まとめ

ここまでの『広さ』『深さ』をまとめると以下のようになります。

「広さ」の業務可視化 「深さ」の業務可視化
定義・必要な理由 ・「いつ」「誰が」「何を」「どのように」業務を実施しているかを把握し、誰でも同じように業務ができるようにすること
・業務のムリ・ムダ・ムラ削減や品質の維持
・全体的な見地から最適解を求め"マイナスをゼロにする"
・一部の人にしか見えていなかったものを明らかにし、ノウハウや暗黙知を共有することで、業務の手数や時間の減少、アウトプットの質の向上を目指す
・属人化、暗黙知化を未然に防ぐ技術継承
・"ゼロをプラスにする"
うまくいかない要因 ・どこからどこまでを対象業務とするかが難しい
・どのような粒度でどのレベルまで可視化するのかが難しい
・取り揃えた資料に漏れがなくダブりがないかを検証する作業が発生する
・集めた資料や情報をわかりやすく整理するスキルが求められる
・明文化すべき対象を「当たり前のもの」としてしまい、アクションに繋がらないマインド集ができ上がってしまう
・単にヒアリングしても「いつもこうやっている」以上の答えが出てこない
・他の人が見た時に「なるほど」と一見して理解できるように、階層化させたり時系列で並べたりするのが難しい
可視化のための
ポイント
・フロー図化や文章化といった見える化 ・何をもってノウハウとし、どこからどこまでのどういった粒度の行動をノウハウとするのかを決める
・実際にそのノウハウを実践してもらう現場の人に確認してもらう
オージス総研の
サービス
業務プロセス可視化サービス 行動観察を用いた業務改善支援

業務の可視化を実施することで、生産性向上、ひいては業務全体の改革に取り組むことに繋がります。
オージス総研はそれぞれのメンバーが専門性や豊富な経験を持っており、ノウハウの抽出と体系化するスキルを持っております。
暗黙知やノウハウ抽出などの業務可視化や組織課題にお困りでしたら、ぜひ一度お問い合わせください。

2023年10月24日公開
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