第61回 制約条件を考える(7)

2015.08.31 山岡 俊樹 先生

制約条件の強弱

 電車やバスに、高齢者や障害者などの優先席があるが、若いサラリーマンがよく座っている。多分疲れているのだろうと思う一方、高齢者が来た場合席を譲るのかと考える時がある。その優先席の表示を見ると高齢者や障害者のイラストが描かれているが(図1)、具体的に行動を誘発させるようなイメージが生じていない。頭では理解しているが、具体的な行動にならないということであろう。優先席という表示が弱い為か、座席の色を変えたり、色々工夫をしているようであるが、そこで、仮に「65歳以上」などと描いたら、具体的なイメージが起き、自分の年令と比較して、座るのを控えるであろう。しかし、この種のマナーは、利用者各自の自覚、自発性に任せるべきで、強制的に行うものでないと考えられているのであろう緩い制約条件となっている。

 図2は電気ポットの操作部分にある「ロック解除ボタン」と「給湯ボタン」の2つのボタンの関係を示している。このボタンを順に押すことにより、給湯ができる仕組みである。こういう仕組みをインターロック設計というが、安全性確保のためである。ところが2つのボタンの色が同じだけで、「ロック解除ボタン」→「給湯ボタン」という操作の流れが読み取れない。従って、初めて使うユーザはほとんど使い方がわからないという状態に陥る。この2つのボタンの関係は、使用する上でそれらの制約条件は強いにもかかわらず、操作の手がかりが色のみという弱い制約条件のデザインになっている。使い勝手向上のため、操作順番を示す番号や矢印を描く必要がある。

 図3は京都のある商店街の天井にかかっていた注意表示である。交通法規でも決められている内容であるが、ほとんどの人が気が付かない。商店街の歩道ではできれば自転車を乗らないでくれというメッセージなのだろうか?大抵の自転車はこの表示と関係なく、通行していた。同様なことが自転車専用道路にも起こっている。この道路は歩道に線が引かれたり、一部に柵が設けられたりして、歩道と分離された自転車専用となっている。しかし、自転車専用道路の一部に自転車のイラストが描かれているだけなので、ほとんどの歩行者は知らず、この専用道路上を歩いている。これは弱い制約条件として、位置づけされているのだろうか?一方、大阪の本町あたりだろうか、自動車道路上に線を引き、自転車専用道路と大きく表示されてあった。この場合は、強い制約条件として考えているのだろうか?いずれにせよ多様な人が使い、危険を伴うところでは、強い制約条件にして、お互いに守るという姿勢のほうが良くないだろうか?

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