第17回 モノやシステムの本質を把握する(7)

2017.10.23 山岡 俊樹 先生

 再定義という見方が注目されている。定義されている内容を再度、見直して新たに定義するという意味である。つまり、新しい価値、意味に変換するということでもある。英語ではreframeが該当するだろう。ありきたりの製品でも再定義を行うことにより、全く新しい製品に蘇る。

 そこで、著者が考える再定義の方法を紹介したい(図1)。

 図1に示す通り、「一般的な定義あるいは見方」を手段とした場合、その目的は何かと考える。その作業を1回か何回か繰り返して、究極の上位概念を抽出する。次に、この上位概念を分解すれば新しい見方、再定義を求めることができる。その場合、何種類かの再定義の項目が抽出されるが、製品やシステムの置かれている文脈やマーケティング上の状況などから選択すればよい。あるいは別の概念から別の上位概念を考えて、それを分解して再定義項目を抽出しても良い。

 事例として一般的な腕時計の再定義をこの方法を使って、行ってみよう。腕時計の一般的な定義は、「時刻を伝える」ことであろう。この定義を「目的―手段」の関係から検討し、目的を考えるとユーザの視点から「ユーザは現在の時刻を知りたい」という上位項目となる。このとき腕時計の視点で記述しても良いが、ユーザの視点のほうが分かりやすいので視点を変えた。更に、上位概念を求め、それを繰り返して、最上位概念「ユーザが行動を起こすため」とした。このように上位概念を求める際、抽象度を上げてゆくと、最上位概念は一定の概念に収斂すると考えている。従って、途中の上位概念のばらつきはあまり気にする必要は無い。この場合は、「ユーザが行動を起こすため」としたが、さらに上位の概念を求めていっても良いが、今回はこのレベルで留めた。また、幅広くとらえて、この「ユーザが行動を起こすため」の反対の概念でも良い。つまり「ユーザが行動を起こさない」という考え方から、従来と全く違う腕時計の概念が生成されるであろう。あるいは別の概念から「ユーザが行動を楽しむため」でも良い。このベクトルから音楽や振動などで行為を楽しむことができるかもしれない。一方、本来の「ユーザが行動を起こすため」に対しては、「最適な行為をアドバイスしてくれる」「ある時刻でのやるべきタスクの表示」とか「居眠り防止機能付き時計」などを考えてみた。この作業を複数人で行うと様々な幅のある再定義ができるだろう。

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