第11回 世の中の動向、ファッションを観察する(2)

2010.12.10 山岡 俊樹 先生

 前号から引き続き、事例紹介を行う。前回紹介した表参道で簡単なファッション調査をおこなったので、その観察の方法を述べる。

今回はファッションの調査であるが、前回と同様に以下の手順により、調査の方向性を定める。

(1)目的を決める
 ファッションの調査をおこなう。
(2)観察対象物(システム)を決定する
(3)環境、使用文脈から最適な観察対象物(システム)を絞り込む

  日本を代表するファッションの場でもある表参道で、人々のファッションの動向を調べる。
  特に、ファッションと鞄(保持の仕方)について調べる。
(4)観察する
(5)得られた情報を生み出している背後の様々な価値、考え方を類推する
(6)類推した価値や考え方をグループ化して、構造化し、潮流を推測する

  前回の報告で、ファッションだけでなくデザインや建築の動向を調べたので今回は
  (1)から(4)までの調査を行った。

下記に手順を示す。

(1)観察、撮影する
  本格的調査を行うならば、特定の場所で特定の時間帯毎の変化も把握するため、
  午前、午後のように何回も分けて観察をする必要があるが、今回は午後13:00ごろから
  約1時間行った。写真はインターバルを取って(例えば5分ごととか)観察、撮影するのがよい。
(2)調査したいところを特定し、マトリックスに入力する
  被観察者に番号を振り、調べたい項目についてマトリックスに入力する。
  マトリックスの列頭に被観察者、行頭に性別、トップスとボトムスの色(黒、白、その他)、
  レギンス、鞄(右肩、左肩、右肘、左肘、右たすき掛け、左たすき掛け)、帽子(有無)などを
  配置する。該当すれば1、しなければ0とセルに入力する。
(3)マトリックスのデータにコレスポンデンス分析をかけてグループ化する
  コレスポンデンス分析により特徴のある被観察者グループに分類することができる。
(4)調べたいグループに対して形式概念解析(FCA)を行う
  FCAはマトリックスデータの包含関係からハッセ図を作成するもので、この分析により
  観察対象物間の関係やその属性や行動との関係などを把握することができる。
 

 上記のマトリックスのデータは仮である。X、Y、Zを被観察者とし、a、b、c、dをその調べたい項目、例えばa:トップスの色が黒、b:ボトムスの色が黒、c:鞄を持っている、d:帽子をかぶっている、とする。このマトリックスのデータをFCAにかけると、上記右図のようになる。この図(ハッセ図)の見方は、一番上にある点から見てゆき、被観察者X、Y、Zにつながっている調べたい項目(a、b、c、d)を確認する。Xはaとbがつながっているのが分かる。つまり、Xはトップスとボトムスの色が黒であり、鞄もっておらず、帽子もかぶっていないことが分かる。左にあるマトリックスで確認するとXにはaとbが1になっている。この様にマトリックスの数が少ない場合は、このようなことをしなくとも直感で分かるが、列や行が10以上になると分からない。

 これから紹介するグループは被観察者40名、調べたい項目19である。その結果を下記に示す。

 この図からこのグループの女性(F)は、スカートをはかずに、 トップスは白(T/W)、黒以外の色(T/O)で、ボトムスは黒(B/B)である。鞄は右肩にかけるか(bag/RS)右手で持つ(bag/RH)仕草をしているのが分かる。見方は上図の赤で示した上部の領域が、マトリックスにおいて1になった頻度の高い項目なので、注目して判断すると良い。

 以上紹介した方法は、どんな観察対象でも対応が可能なので、それほど時間を掛けずにデータ採取でき、デザインや製品開発に有効な資料となると思われる。文中で紹介した統計の手法については、フリーソフトがあるので活用されると良い。

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