第29回 消費者のインサイトに仮想コンセプトを使って観察する (2)

2012.11.27 山岡 俊樹 先生

 10回目の記事で世の中の動向、デザインやファッションを観察して、それらの潮流や予測を行うことができる方法を紹介した。この時に観察データから直感で価値観や考え方を出せると述べたが、今回は論理的に推測する方法を詳しく述べたい。この推測する構造は前回述べたが、下図にその関係を示す。観察された特徴から「目的-手段」の関係に基づいて、究極の目的を特定することである。

 10回の記事から、特徴的な事項を拾ってみた。
(1)自転車の利用が多い
(2)ルーズファッション
(3)室内に於ける木製の床の使用

「目的-手段」の関係からそれらの上位の項目を特定してゆく。

(1)自転車の利用が多い→健康の増進→充実した人生を送りたい
    自転車の利用が多い→エコの実現→地球環境を良くしたい

(2)ルーズファッション→着こなしが楽→脱束縛・自由でありたい→充実した人生を送りたい

(3)室内に於ける木製の床→人間的、自然の持つ暖かさの追求→居心地のよい空間の追求→人間中心の考え方

 下図にその関係を示す。上位項目を特定できたならば、これらの上位項目からブレークダウン(分解して)して、様々な要求事項を抽出することができる。木製の床の場合、室内に関わることに関して、「居心地のよい空間の追求」と「人間的、自然の持つ暖かさの追求」から白熱電球を使った照明器具、ややクラシック調のアームチェアーなどが考えられる。

 以上はシステムや人工物に絡む場合であるが、人間そのものについても「目的-手段」のアプローチができる。目的手段で考えにくい場合は、「なぜ」と考えてもよい。その関係を下図で示す。こういうことは通常の生活でよく行っていることであるが、論理的に行うと結構正確に把握できる。例えば、タクシーで、お客の状況を考慮せずに、話しかけてくるドライバーがいるが、どちらかというとマイペースの人かもしれない。また、人の話をよく聞かないで、自分の話ばかりする人も同様の価値観を持っている人かもしれない。そうするとこういう人に対する接し方が分かる。

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