第7回 製品(システム)とそのインタフェース部について観察する(2)
2010.06.23 山岡 俊樹 先生
(2)インタフェース部を観察する
インタフェース部分を観察するには、下記の視点から観察すると良い。
(a)最適な操作
最適な操作とは、身体に対する負担の少ないことを言い、人間-機械系の身体的側面の視点から観察する。つまり、(1)ユーザの姿勢は最適か、(2)ツマミなどの操作具の操作方向と操作力が最適か、(3)操作具とのフィット性は最適か、の3つの視点から問題点を探ることができる。例えば、私が以前使用していた図1の電子辞書のキートップは凸型になっており、その大きさが小さいということもあって非常に使いづらく、違和感を感じたものである。
(b)見易さ
文字などの見易さについては、(1)見る対象物がある大きさ以上であること(ある値以上の視角、大まかな目安として視距離の1/200)、(2)対象物が明るいところにあること、(3)対象物と背景に対比(コントラスト)があること、(4)見るための時間があること、である。
例えば、ケイタイの視距離(見る距離)は300-500mm程度であるので、この距離の1/200である1.5mmから2.5mm以上の文字天地になっているのかチェックすることができる。
(c)メンタルモデル
メンタルモデルをここでは機器に対する操作イメージと定義する。設計者がユーザのメンタルモデルを考慮してデザインしているのか、あるいはその逆の設計者のメンタルモデルをユーザがくみとれる様なデザインになっているのか調べる。図2の蛇口は台南市のホテルで見つけたものである。通常、その形状から手前に引くと水が流れると考えるのが普通であるが、この操作は温度設定で水はその方向から90度回転させた方向にノブを回転させて流す構造となっている。これは設計者とユーザのメンタルモデルの不一致の例である。
(d)操作の手がかり
操作をするには何らかの手がかりが必要である。図3のような電気ポットの場合、操作する際、安全性を確保するため、ロック解除ボタンを押してから給湯ボタンを押す手順となっている。ところが、ロック解除ボタン→給湯ボタンの手順を示す手がかりがないので、所有者のホテルはわざわざ手順の番号を貼って、お客に分かるようにしている。
(e)安全性
安全性をチェックするには、(1)危険が取り除かれているのか、(2)フール・プルーフ(fool proof)設計が行われているのか、(3)タンパー・プルーフ(tamper proof)設計が行われているのか、(4)保護装置(危険隔離)はあるのか、(5)インターロック機能を考えた設計となっているのか、(6)警告表示はあるのか、の6項目でおこなう。なお、フールプルーフ設計は、操作ミスをしても、人間に対し安全になっている設計をいう。タンパープルーフ設計は、いたずら防止設計のことである。インターロック機能を考えた設計とは、操作がある一連の手順に従わないと実行できない設計のことである。
※先生のご所属は執筆当時のものです。
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