第36回 さりげない“もてなし”を観察する(1)

2013.07.16 山岡 俊樹 先生

 サービス業で様々なもてなし(気配り)がされるが、通常目見える形で提供される。レストランで食事中、水やお茶が無くなった場合、頼めば持ってきてくれる。気の利いたところでは、いちいち頼まなくとも、サービス提供者は自然についでくれる。これは普通のもてなし、サービスであろう。

 国内外の学会に発表に出かけるので、ビジネスホテルをよく使う、レベルは中の上クラスの2つの国内のビジネスホテルを最近利用した。両ホテルとも顧客の評価が高く、5点満点で4点以上であった。たまたまホテルに早く着いたので旅行バックを預けて、学会に出かけ帰ってきたところ、有るホテルではバックを部屋に運んでくれてあった。一方の方は、そうではなかった。前者の顧客評価は4.5程度、後者は4点程度であった。価格はほぼ同じであるが、前者は朝食付き、後者は無し、部屋のサイズもそれほど差はない。前者のホテルで更に感心したことがあった。前者のホテルで、自販機で飲み物を購入しようとしたとき、自販機にビニール製の買い物袋がセットされてあった。確かに、複数の飲み物を購入する場合、この様な袋があるとありがたい。また、ここは新しいホテルということもあるが、図1を見てほしい、何か感じないだろうか。ホテルの廊下が長い場合、壁が続いて見えて、どこがエレベータホールか分からず、うろうろした経験はないだろうか?図1の写真では、廊下のカーペットにもう一本の幅の狭い色違いの表示をして、どこで曲がっているのか遠くからでも分かる心憎い配慮がされてあった。

 最近完成したとある病院でさりげないもてなしを感じた。図2と図3を見て、その違いを感じてほしい。よーく見ると図2のイスの座面や背面の傾きがかなりあるのが分かるが、一方、図3の方は傾きがない。図2の方は診察待ちに使うイスで、時間がかかるので、疲れないように座面と背面の傾斜を強く取っている。図3の方は清算待ちに使うイスなので、待つ時間は短く、すぐ立ち上がれるように傾斜は取っていない。

 このようにシステムや製品のさりげないデザインの気配りから、サービス提供者の心憎いもてなしを感じることができる。


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