第20回 サービスの設計項目から、サービスシステムの問題点を探る(1)

2011.10.07 山岡 俊樹 先生

 サービス提供が行われるのがサービス・エンカウンターである。このサービス・エンカウンターの場で、サービス提供者は顧客の状況を入手(気配り)、判断(適切な対応)し、行動(態度)を取り、顧客にベストのサービスを提供しなくてはならない。

 「気配り」は、サービス提供者は顧客の行動の情報を入手し、何か困っているのかウオッチすることである。気配りの感度を上げるには、顧客に「共感」、「配慮」する感度を上げなければならない。共感とは、顧客の状況を自分も同じように感じ、理解することである。配慮とは顧客の状況に心を配ることである。

 観察を行う際、この気配りの観点から見てゆくと、日頃余り気にならなかった事項が検討事項(問題点)として浮き上がってくる。

 図1のお店に入店したときのこと、13:00過ぎでテーブルがかなり空いていたので、大きいテーブルに座ろうとしたら、1人用の小さいテーブルに座ってくださいと言われた。その後、大きいテーブルの動向を見ていたら、空いていたままであった。店員さんは混む時間が分かっているはずなので、杓子定規な対応をする必要がないのではと感じた。つまり、臨機応変した気配りができないのだと思った。また、テーブル上には無造作にメニューが置かれ顧客に対する配慮のなさも感じた。可能であれば、勘定をするとき、先ほどはご無理を言いましたとか、気の利いた台詞一つでも言えれば良かったのだが。


図1 某お店のテーブル

 横浜のデパートにある中華レストランに家族で行った。空いたイスに荷物を置いたところ、食事で汚れないようにこの上に布を被せてくれた。高級店ではないが、気配りを感じたお店であった。このように配慮ができるので、観察をしていたら案の定、他のサービスすべて的確であった。


図2 荷物に布を被せてくれる

 図1のお店は特段悪いというわけではないが、なぜなのか?図2のお店はなぜできるのか?

 多分、お店の方針、つまりコンセプトが明確であるためと考えられる。我々は日頃行動の方針を持っていると、行動にブレはないし、その方針に従って臨機応変の行動がとれる。日頃学生と接しているので思うのだが、人生のベクトルを持っている学生は、何をすべきか分かるので、自分から率先して勉強をし、様々な対応を素早く処理している。しかし、その逆の場合、のんびりして余り勉強をしない傾向がある。サービス業の場合、経営方針が明確であり、それに沿った教育をすれば、ムダのない適切なサービスの提供が可能となる。まずは、気配りという観点からサービスを見てゆくと、そのお店、会社の経営方針の一端が見えてくる。

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