第54回 物語性について考える(9)

2015.01.26 山岡 俊樹 先生

物語を作る

 様々な日用製品で、その製品のネーミングに一見、興味を引く物が多く見られる。例えば、「おかんの豆腐」とか。単なる豆腐の機能を売りにネーミングしたものよりもインパクトがある。作り手の願い=コンセプトをネーミングに凝縮することにより、それが物語となり、強いインパクトとなる。練歯磨きでも、理解が困難で、イメージが生まれない「歯周病防止」よりも、「歯ぐき下がりが気になる方に トマリナ」というネーミングのほうがイメージしやすく、インパクトが強い。

 物語の場合、製品やシステム全般に係るが、こういう部分的なネーミングやキャッチフレーズも一種の物語で、共感を呼ぶことができる。各タスクに対してUX(User Experience)を抽出する方法を下表にて示す。まず、タスクから人間の情報処理過程の3つのステップ(情報入手⇒理解判断⇒操作)において、体験に係るステップを探す。そして、そのステップでUXに係る感覚から感情を生成するのを検討する。例えば、ファミリーレストランで、操作画面を通して料理を注文する場合、単なる料理の写真を提示するのではなく、指でその料理をタッチすると作られているシーンが紹介されて、UXを生じさせるなどの演出を考える。そうすると多くの顧客から良い感情が生まれ、共感を得ることができるだろう。この場合、情報入手・理解判断の段階で料理が作られるシーンを見る⇒そうするとUXに係る感覚として親しみを得て、驚く・感動するなどの感情が生起される。表には代表的なキーワードが準備されているが、無ければそれ以外の最適なキーワードを考えれば良い。

 このような何箇所のタスクで良い、印象的な体験が生じると、これらの体験がまとまって物語となる。先ほどのレストランの例では、様々な体験を得ることにより、顧客はこのレストランに関する物語が生まれ、その物語に共感して顧客満足度が高まるであろう。勿論、画面だけでなく、料理の質、サービス提供者の態度、ハイレベルのインテリアデザインなどの要素が絡んで、そのレストランに対する物語が生まれ、評価が定まる。

 このフレームを使って、実際体験したことを改善してみる。出張で駅前にある蕎麦屋に入った。中に入ると有名人の色紙が壁にかかっており、結構有名なお店だと気がつく。しかし、午後五時頃入店したせいか、客は私一人であった。従業員が来たが、どうも事務的な対応であったが、注文して、そばが来た。しかし、通常の蕎麦屋と比べて約1.5倍高く、味は普通であった。食べ終えて、立って身支度をしていると、今まで奥にいた従業員が急にレジのところに行き、そこから声高に値段を言ってきた。お金を支払って、店から出ようとしても挨拶が無かった。

 折角の経営資源がうまく活用されていない。慢心しているか、マネージメント能力が低下しているためと思われる。下記のような対応は、費用がかからず、顧客がリピーターになる確率が高くなるので、行うべきであろう。

 

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