第31回 階層型要求事項抽出方法-REM(2)
2013.01.29 山岡 俊樹 先生
REMを開始するに当たって、問題点を抽出する必要がある。以下の分類に従って、問題点を抽出する。
(1)製品やシステムの問題点抽出
HMI(Human Machine Interface)の5側面から問題点を抽出する。
a)身体的側面:人間と機械との身体面での適合性< 1.最適な姿勢,2.適正な操作力,3.操作具との最適なフィット性
b)頭脳的側面:人間と機械との情報のやり取りでの適合性
1.メンタルモデル,2.分かりやすさ,3.見易さ
c)時間的側面:人間と機械の時間面での適合性
1.作業時間,2.休息時間,3.反応時間(機械側からの)
d)環境的側面:人間と機械の環境面での適合性
1.温度,湿度,気流,2.照明,3.振動,騒音他
e)運用的側面:人間と機械の運用面での適合性
1.組織の方針,2.メンバー間の情報の共有化,3.メンバーのモチベーション
(2)サービスの問題点抽出―――サービスのチェックリスト
1.顧客が不安を抱かないように配慮されていたか?
2.サービス提供者にスキル,知識はあったか?
3.サービス提供者の態度は良かったか?
4.メインサービスは良かったか?
5.サービスは効率よく行われたか?
6.環境は良かったか?
7.機械(設備)は良かったか?
8.マネージメント系はよいか?
(3)操作画面の問題点抽出------GUIチェックリスト
1.見やすくなっているか
2.重要な情報は強調されているか
3.レイアウト、情報は簡潔になっているか
4.手がかりなどによって、容易に「情報の入手」や「操作の誘導(ナビゲーション)」がなされているか
5.わかりやすい用語を使っているか
6.情報は冗長となっているか
7.情報間の関係付け(マッピング)は適切か
8.視覚あるいは聴覚などのフィードバックがあるか
9.操作時間は適切か
10.操作した時間の経過がわかるようになっているか
11.一貫性は考慮されているか
12.階層構造が分かるようになっているか
13.ユーザのメンタルモデルを考えて、インタフェースは作られているか
14.システム全体が把握できるようになっているか
15.エラーしても、問題とならないデザインとなっているか
16.柔軟性があるか、あるいはカスタマイズ可能か
以上の手法から問題点を抽出したあと、REMを使って究極の目的と根本原因を抽出する。例として、某駅にある軽食がとれる喫茶店をサーベイしてみた。結果は以下の通りである。
問題点の一例として、「お店の中が分煙されていなかった」を取り上げる。問題点:「タバコで汚れた空気」→機能:「空間を仕切る」→解決案:「分煙された空気」、となる。次に、この問題点に対し、原因と結果の関係から分解してゆく。結果:「タバコで汚れた空気」→原因:「顧客のことを考えてない」、これを何回か繰り返すと根本原因として、「場所が一等地なのでお金を掛けなくとも顧客が入る」が考えられる。実はこの根本原因がすべての問題点の原因になっているのが分かる。一方、解決案の「分煙された空気」を目的-手段で上位項目を抽出してゆく。手段:「分煙された空気」→目的:「顧客に清潔な環境で過ごしてもらう」となる。さらに手段:「顧客に清潔な環境で過ごしてもらう」→目的:「満足感の獲得」となり、これが究極の目的である。
究極の目的と根本原因が分かれば、これらから様々な要求事項を抽出できる。究極の目的:「満足感の獲得」であるので、この項目からブレークダウン(分解)すれば様々な要求事項を抽出できる。また、根本原因:「場所が一等地なのでお金を掛けなくとも顧客が入る」に対して、本質的に今後どうするのか経営判断をしなければならない。この根本原因から上記の図以外の様々な問題点を抽出できるので、当面はこれらの問題点の改良に努めなければいけないが、対処療法的な対応なので、いつか根本的な対応に迫られる時期が来るものと予想される。
※先生のご所属は執筆当時のものです。
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