第18回 70デザイン項目を活用してシステム、製品の使用実態や問題点を探る(6)

2011.08.05 山岡 俊樹 先生

 メンテナンスは製品やシステム本体から見ると地味で縁の下の力持ち的存在であったが、サービス工学の観点からすると重要なビジネスチャンスであると認識できる。

 製品やシステム本体に対するメンテナンス(保守性)項目は2項目あるので、この観点から観察してゆく。

(1)近接性の確保
 作業スペースの確保、最適作業姿勢の確保、最適な作業時間などの視点から観察してゆく。作業スペースの確保というのは、作業員が機械をメンテするのに必要な作業スペースをいう。往々にして、機械が壁面近くに配置されると作業スペースが十分取ることができず、メンテナンス作業が大変困難となる場合がある。

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図1 床面に突起物が無くなり、清掃が容易になっている

(2)修復性の確保
構造の簡素化、分解のしやすさ、部品交換の容易性、部品のユニット・標準化、工具の統一プラグイン化などにより修復性が容易となる。

 以上の2項目は製品やシステムそのものについての設計項目であり、観察項目でもある。しかし、製品やシステムは使い続けられるので、時間軸上でそれらの運用面も調べなければならない。運用面をチェックするのによい方法は、時間軸に関するシステム要素の変化、例としてゴミ箱(あるいはそれに類するオブジェクト)やシステム本体の汚れなど、を確認することである。例えば、ある空港のラウンジのトイレのゴミ箱にゴミが溢れていた。受付には女性が2名もいるのだが、清掃係りには人数が足りないようであった。また、海外の地下鉄ではステンレスやプラスチックを使ったシートをよく見かけるが、座り心地は良くないが、メンテナンス作業は容易となる。

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図2 ニューヨークのセントラルパークのゴミ箱


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図3 ニューヨークの地下鉄の車内のシート:プラスチック製でメンテナンスが容易である


図4 メンテナンス作業の容易化:ユーザに選別して廃棄してもらうことにより選別作業が無くなる

 経営コンサルタントが依頼された会社のトイレの汚れ具合を調べることにより、その会社のマネージメント力を推定することがよく言われる。トイレという時間軸上で常に変動している場所に、会社がどう対応しているのかが分かるので、この会社のマネージメント力を予測できるのである。

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