第14回 70デザイン項目を活用してシステム、製品の使用実態や問題点を探る(2)

2011.03.11 山岡 俊樹 先生

 今回はユニバーサルデザインの観点から観察をおこなう方法について述べる。著者はユニバーサルデザイン設計9項目を提唱しているが,この項目の視点から機械,システムを観察し,その問題点やそこに埋め込まれた設計者などの考え方を読み解き,ユーザ要求事項他を抽出する。

 次に9項目の概要を示す。

(1)調節:
  機械側を調節することによって,多様なユーザに対して
  対応する考え方である

(2)冗長度:
  機械とのやりとりで,いくつかの代替案があることをいう。
  公衆電話機でコインとカードで使えることは,
  コインしか使えない場合よりも冗長度の高い設計といえる。

(3)仕様、機能が見える:
  直感で何をするのか分かるようにする。

(4)フィードバック:
  操作したときの機械側からの反応をいう。

(5)エラーに対して寛容:
  ユーザがエラーをした場合,
  何らかの対応が機械側からなされる。
  鉄道駅の自動改札口は,カードを逆向きに挿入してもエラーとならず,
  寛容な設計となっている。

(6)情報の入手:
  視覚だけでなく,聴覚,触覚を含めて,
  これらの情報が容易に入手できること。

(7)情報の理解・判断:
  情報の入手で得た情報を容易に理解・判断できること。

(8)操作:
  楽な姿勢で操作が容易にできること。

(9)情報や操作の連続性:
  提示情報や操作の流れが途切れず,
  それの連続性が保証されること。

 写真1は,調整の考え方を実現したデザインである。背の高い人と低い人・子供などがそれぞれ無理なく水を飲める様に配慮されている。 写真2,3は情報や操作の連続性の確保の考え方を実現したデザインと,逆に阻害している例である。

 我々の身の回りの機械やシステムをユニバーサルデザインの観点から観察することにより,製品やシステム開発のユーザ要求事項を把握することができる。

 例えば,写真3からは,自転車所有者は線状ブロックを利用するユーザについて思いつかなかったのかもしれない。それを防ぐにはどうしたら良いのか?線状ブロックを設計した設計者,行政は,自転車が塞ぐことを予想だにしなかったに違いない。もしそうならばなぜなのか? この事例から,モノの充足だけでなく,設計時にユニバーサルデザインの教育,運用面などのユーザ要求事項を幅広く検討する必要性を我々に教えてくれる。

 写真2からは,車イスユーザも通行できる様に配慮されているのは,その必要性があったのかもしれないが,そこに温かい思いやりを感じさせる。

写真1
調整の考え方を実現したデザインである。背の高い人と低い人がそれぞれ無理なく水を飲める様に配慮されている。

写真2
情報や操作の連続性の確保の考え方を実現したデザインである。車いすユーザでも通行できるように配慮されている。

写真3
情報や操作の連続性を阻害する例である。視覚に頼れないユーザは線状ブロックに沿って移動が困難となっている。

 

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