第35回 「結果-原因」の関係から人間の行動を観察する

2013.06.07 山岡 俊樹 先生

 人間の行う行動には、必ずそれを起こした原因がある。どこかに出かける場合、具体的な目的もなく気楽に散歩をすることもあるだろうが、これも一種の目的のある行動である。従って、人間の行う行動には、何らかの意図があるはずである。以前ご紹介したREMでも使われている「結果-原因」の視点から、この関係を調べることができる。

 私が利用しているバス会社で、バスの運転手が対向車線から来る同じ会社のバスの運転手に必ず運転中手を挙げて挨拶をしている。挨拶というのは、人間の自然な行為だが、運転という作業中に手を挙げるというのは問題ないのか?と疑問を持った。車内の運転手側の前面窓の上に「安全運転を行います」云々という札が掲げられていた。前回ご紹介した「目的―手段」の関係を使って、このキーワードをいかに分析しても、片手で運転する合理的な理由は見あたらないだろう。よーく見ているとどうも面倒いように思っている運転手もいた。「結果―原因」の関係をあてはめて考えてみると、「運転中手を挙げて挨拶をする」(結果)→(原因)「仲間同士の確認、親密感の確認」(結果)→(原因)「運転中の孤独感の解消」(結果)→(原因)「運転の厳しさ」があるためかも知れない。会社側のマネージメントとして、安全運転に支障を来す行為は禁止させ、運転手間の親密な関係を維持させるためにレクレーションの開催などの施策を行う必要がある。もしかしたらこの様な施策がないための代償行為としても考えられるかもしれない。

 別の例では、メールで何らかの誘いをするとき、すぐ返事が来る場合とそうでない場合がある。「結果―原因」の関係から考えると、前者の場合は積極的に対応したい場合で、後者は そうでない場合のようだ。そうでない場合は、断りにくい、積極的に対応する気がないのでズルズルそのままにしてしまうのであろう。勿論、多忙でなかなか返事を出せないというケースもあるだろう。

 あるいは別のケースでは,原稿の締め切り日に遅れて提出した場合、1日だけ遅れても申し分けないと但し書きをつけてくる人と3日遅れても何も書かないで出してくる人がいる。この「結果-原因」の関係を使って分析をすると、前者は時間に対して願密に考えている人で迷惑をかけて申し訳ないと考えている人であろう。後者の場合、3日ぐらいは誤差の範囲で問題ないと考えているのか、あるいはプライドが高いかも知れない。いずれにせよこういうスタンスを取る人は、いろいろ問題を起こす可能性がある。学生の場合、社会経験がないので、中には迷惑をかけたという意識のない学生もいて、これは自分の行為に対するメタ認知がないためであろう。

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