第3回 メンタルモデル(2)

2016.08.25 山岡 俊樹 先生

 前回に引き続き、Temporal Model(時間モデル)について、考察したい。今年、8月中旬に、台湾の某国立機関から講演を頼まれたので台中と台北に行った。台北市内の地下鉄に乗ったとき、ドアの上に細長いデジタルの表示板があり、次に停まる駅名などを表示しているのであるが、現在時刻の表示がされてあった(図1)。これは単に時刻を表示するだけではなく、過去からの時間の推移や未来への時間の推定を可能にしている。もし、乗客が腕時計をせず、このような車内での表示板が無いと自分の置かれている時間軸のポジションが分からず心理的に不安となる。一方、地下鉄の改札口の上部にも時間表示がされ、電車到着までの時間を示している(図2)。こちらは、地下鉄のシステム、つまり広い意味の地下鉄に関するメンタルモデルが到着時間を表示することにより、ユーザと一体化すると考えてもよさそうである。つまり、時間を介してメンタルモデルがより身近な存在としてとらえることができるのである。

 このような視点から、UX(User Experience)とメンタルモデルが時間によって結び付けられることも考えられる。メンタルモデルのfunctional Modelの各タスクは、その時間推移によりUXが生成され、また各タスク間の推移により文脈が生まれる。
以上の論点から下記の項目が抽出される。

(1)Temporal Modelによって、メンタルモデルの複雑度が分かる。

 例えば、標準の操作スキルを持つユーザが、操作するのに時間がかかった場合、メンタルモデルの複雑度が高いと理解できるだろう。
そう考えると簡単な場合を除いて、操作する前に予想操作時間などを紹介しても良いのかもしれない。この場合、操作時間の長さがシステムの評価基準の重要な要素になるかもしれない。

(2) Temporal Modelによって、タスクの操作困難度やタスク間の関係が分かる。

 タスクの困難度は時間により変換できる。この場合、標準のスキルを持ったユーザと限定しなければならないが、難しいタスクあるいは多くの操作を要求されるタスクは時間がかかるだろうし、その逆は時間がかからないだろう。また、タスク間の関係は独立している訳ではなく、当然、時間というパラメータで連続しており、関係が認められる。また、基本的に各タスクは内容的にも?がっている。

 いずれにせよ、今までのインタフェースやメンタルモデルの捉え方が、静的(static)であったが、今後時間軸を加えて動的(dynamic)な位置づけになると思われる。つまり、システムが複雑化し、情報提供方法が動的に対応しないとユーザに適切なメンタルモデルが構築できない為と考えられる。

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