第56回 制約条件を考える(2)

2015.03.24 山岡 俊樹 先生

 我々を取り巻く要素として、空間と時間がある。空間は我々に対して物理的な存在として、時間は行為の予定・履歴として、我々にとって大きな制約条件となっている。空間の場合、あるA地点からB地点まで行く途中に池や沼があれば、そこを迂回して行くであろう(図1)。この場合、池や沼が制約条件として、人間の行動に影響を与える。また、横浜駅から東京駅に行くとした場合、どうだろうか?歩いてゆくならば、道路という制約条件が有り、これに従って歩くと1日ぐらいかかる。そこで、電車を使えば25分程度で行ける。更に、使う鉄道会社(JR、京浜急行)や電車の種類の制約条件により、様々な選択肢が浮上する。例えば、JRの場合、特急で行くとすると所要時間が20分であるが、費用が普通電車の464円に対し、1934円と大幅に増加する。更に、普通電車でも快適性を求めると費用がかかるがグリーン車の選択も視野に入る。つまり、ユーザはある目的を達成させるために様々な制約条件とかけるコストから最適な制約条件を選んでいると解釈できる。

 時間の場合はどうであろうか?横浜から急いで東京に行かなければならない時、たまたま来たのが特急の場合、1470円多く出費がかかるが10分前に約束の時間に着くが、その後の普通電車に乗るとギリギリに着く場合、どう判断するであろうか?その場合、先方の会社の相手が親しい場合ならば、ギリギリでも許容されるかもしれないが、契約する場合ならば、早く着くように判断するであろう。つまり状況により制約条件を選ぶのが分かる。この状況も制約条件と考えれば、すべて制約条件をどう選択して、最適解に落としこむかだということが分かる。このような制約条件を整理するには、決定木を使うことにより、それらの関係を定量的・構造的に把握することができる。

 つぎに、ハード(もの)とソフト(こと)についても検討してみよう。ハードに関する制約条件は、ハードに付帯するすべての要素とする。図2は通常あるデジタル式の目覚し時計の基本レイアウトをベースにしたデザインである。左右にそれぞれ2つあるボタンにはその機能について表示されているが、その用語について知らないユーザは使えないこととなる。実際、かなり慣れていないと使えないであろう。また、あるコンビニで使われているコーヒーマシンの表示が英語で分からない為か、店側で日本語のシールがベタベタと貼られていた。このように使う人の知識レベルの制約条件を考えないと、使いづらい製品となる。

 ソフトの場合はどうであろう。ソフトに関しては、ハードに絡む作り手のこだわりであり、使い手の体験や思い出などであろう。更に、文化面も入れても良いだろう。京都のような歴史のある街は景観を守りたいという意識上の制約条件があるようで、図3のあるコンビニではその町並みに合わせた外観のデザインとなっている。

 制約条件は観察やデザインに活用することができる。観察の時、人間やオブジェクトに対し、どのような制約条件があり、それが人の行動にどのように影響を与えているのか、あるいはその為、オブジェクトがどの様なデザインになっているのか構造的に解明すると良い。また、人の意思とオブジェクトの制約条件との妥協点として、ある行動をとることも考えられる。このような構造から紐解いてゆくと消費者のインサイトを探ることができるだろう。

 

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