第37回 さりげない“もてなし”を観察する(2)

2013.08.19 山岡 俊樹 先生

 図1の写真は、私が博多に出張する際、よく使うビジネスホテルの室内である。机が壁面に対して直角に取り付けられ、その面積は広く、非常に使い勝手の良い机である。ビジネスホテルなので、ビジネスマンが主対象であるが、観光客も価格が手ごろなのでよく使われている。しかし、ビジネスマンが使うので、単に寝るだけではなく、そこで仕事をする空間でもある。そうした観点から見ると殆どのホテルがおざなりのテーブルで適当なイスが置かれているだけである。特に私はPCを使って長時間作業をするので、人間工学的に問題のない机とイスが必要である。あるとき、スツールが置かれてあって、仕事にならないときがあった。ビジネスホテルを再定義すれば、何が重要で何が不要というのがすぐに分かるであろう。つまり、重要な要求事項は何かと考えればすぐ解答が出る。このホテルはしかも2階に大浴場があり、様々ところでもてなしの心を感じることができた。


 
 

 一方、今年の7月にラスベガスで開催されたインタフェース系の国際会議に出席するため、有るホテルに宿泊した。米国のホテルなので、値段の割には非常に広く満足であった。ところが、通常、米国のホテルだと無料のコーヒーが準備されていて、自由に飲めるところが多いが、ここは何もなかった(図2)。氷は自由に手に入るが、ミネラルウオーターがないのには参った。6年前にもこの同じホテルに宿泊したのであるが、ミネラルウオーターを買いに行った記憶がないので、その当時は準備されていたのかもしれない。他のホテルに泊まった会議参加者にも聞いたのだが、無いとのこと。観光のホテルなのだから、水やコーヒーを飲みたければ、1階の売店で買えと言うことなのだろうか?多様な顧客がいるのだから水やコーヒーは無料で提供すべきであろう。こういう些細なことであるが、こういう情報を手がかりにこのホテルあるいはラスベガスのビジネス戦略を類推することができる。


 
 

 ラスベガスのメインストリートを歩いていると掃除をする人が目についた(図3)。その為かニューヨークと比べても路上のゴミを見ることがなかった。観光都市なので、各ホテルが建物や周囲の路上の清掃に注意を払っているようであった。ラスベガスはある意味ではディズニーランドを大きくしたようなもので、非日常の世界でもある。常に清潔にして、観光客に夢を与えなければならない。メインストリートの至る所にローマ時代の彫刻を模した噴水があるなど(図4)、観光客に非日常性を与え、様々なもてなしを提供しているといえるだろう。



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