第5回 直接観察法について-自然の状況下での観察-

2010.01.07 山岡 俊樹 先生

 観察工学には直接観察法と間接観察法がある。人間が人間-機械系(HMI)を直接に観察するのが直接観察法である。間接観察法は各種センサーやビデオテープレコーダなどの機械を通してHMIのデータを得る方法である。直接観察は人間が直接に観察するので、得られる情報量は多い。一方、間接観察は人間が介在しないので、被観察者には直接観察と比べて違和感がなく長時間の観察が可能である。

 直接観察には、 自然の状況下での観察とある条件下での観察がある。ありのままの自然の状況下で行う観察方法として、直接観察が主であるが各種タスク分析(3Pタスク分析、5Pタスク分析)や仮想コンセプト法も考えている。直接観察を行う際、観察者と被観察者が一緒になって行動し、観察者が被観察者に様々な質問して情報を得る方法が参加(参与)型の観察である。抽象的な情報を扱っている情報デザインやHMIの運用面の領域では、参加型観察アプローチは必要である。ユーザ要求事項は観察により得られた問題点から以下の方法で抽出される。

(1)問題点からユーザ要求事項を抽出する方法
(2)観察から架空の想定ユーザ像や理想のシステム像を明確にしてから、それに基づいてユーザ要求事項を抽出する方法。

 この方法は想定ユーザ像や理想のシステム像を構築した後、これらに基づいて直接観察だけでは把握困難なユーザ要求事項を類推し抽出することができる。

※先生のご所属は執筆当時のものです。

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