第16回 70デザイン項目を活用してシステム、製品の使用実態や問題点を探る(4)

2011.06.03 山岡 俊樹 先生

 安全性(PL:製品安全)の観点から観察を行うことにより、通常気が付かない安全性の問題や設計者のシステムに対する考え方を推測することができる。これらの得られたデータから安全に関する解決案を作成するのである。

(1)最初に「なぜ、このようなデザインなのか」の観点から製品を調べる。
 ユーザの視点から製品( 特に操作部やパーツ)が「なぜ」このようなデザインになっていて危険かどうか検討する。デザイナーのデザイン意図を予測して、製品の使われる環境や文脈から、デザインとして不都合な個所や危険な個所等の問題点を類推することができる。

(2)人と接する製品のエネルギーの高い部分を調べる。
 製品のエネルギーが高い部分とは、ドア、羽根、蓋、回転刃、上下するアーム、DVDのトレイなどの可動部分や電気ヒーター、ハロゲンランプなどの発熱・蓄熱部分である。これらのエネルギーが高い部分が身体部分と接触しないようにデザインされているのか調べる。危険個所と接触が考えられる場合、危険を知らせる、あるいは接触を避ける仕組みになっているのかチェックする。更に、これらのエネルギーが高い部分だけでなく、物理的エネルギーに対して脆弱な部分にも注意を払わなければならない。例えば、物理的衝撃に対して弱いガラスや板厚の薄いプラスチック製品に対しては、応力を分散させるとか、壊れたときの対応策などを調べる必要がある。

(3)ユーザの使い方を類推する
 使用環境を考え、製品知識のあまり無いユーザの使い方を推測する。特に、子どもは商品知識がなく、未知のものに対して興味があり、そして自分の行動の結果を予測するのが難しいので、注意を要する。図1のドアの回転軸部分に取り付けられたプロテクターは、指の巻き込み事項を防止するアイディアである。

図1 ドア部分に取り付けられたプロテクター

(4)安全設計チェック項目で調べる
 安全設計チェック項目は6項目有り、以下の通りである
1.危険の除去がされているか
 危険な箇所があるのかチェックする。
2.フール・プルーフ(fool proof)設計が行われているのか
左右(上下)が非対称の構造で誤挿入防止となっているコネクターなどの、間違った操作をしても、人間に対し安全になっている設計なのかチェックする。
3.タンパー・プルーフ(tamper proof)設計が行われているのか
特別の工具でないと回せないネジなどの、いたずらに対する防止設計になっているのかチェックする。
4.保護装置(危険隔離)を設けられているのか
扇風機のガードなどの、人間と危険から隔離する設計になっているのかチェックする。
5.インターロック機能を考えた設計を行われているのか
脱水中に洗濯機のカバーを開けると脱水槽は止まるなどの、操作が一連の順序に従わないと実行できない設計になっているのかチェックする。図2の電気ポットでは、「ロック解除」→「給湯」のボタンを押すことにより、給湯が可能になる。

しかし、図3の機械式のインタロック機能では、給湯後ロックを掛け忘れるとインタロック機能が働かず、間違ってお湯が出てしまう危険性がある。

6.警告表示は行われているのか
製品に潜む危険についてユーザに警告するための表示になっているのかチェックする。この6項目で全て、安全性が分かるというものではないが、大抵の安全性に関する事項はこの6項目で把握することができる。

 上記の6項目は体系化されているので、最初に「(1)危険の除去」は行われているのか調べる。ただ、これだけでは潜在的な危険を取り除くことができない場合、「(2)フール・プルーフ(fool proof) 設計」と「(3)タンパー・プルーフ(tamper proof) 設計」が行われているのかチェックする。さらに、確実に危険を排除するために、「(4)保護装置( 危険隔離) を設ける」と「(5)インタロック機能を考えた設計」が行われているのかチェックする。最後に、どうしても危険を完全に取り除けない場合は、「(6)警告表示を行う」のが必要であるので、この観点からも調べる。

 以上のプロセスに従って、観察すると安全に関する問題点や要求事項を抽出することができる。

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